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衝動と慟哭 4
理玖の鈍足はすぐに唯たちに追いつかれた。
「理玖! お前どこ行くんだよ!」
「帆乃くんのとこだよ! 学校だろ多分! 茗荷谷に行くんだよ!」
「りっくん先週ゼミさぼったから単位的なのやばいんじゃないの⁉」
「あ」
理玖は唯のど正論に冷静になって足が止まった。
「けどゼミより帆乃くんのが大事だから」
「それは分かるけど、帆乃くんの行動を読めよ。多分お前見たら逃げるぜ?」
これまでの帆乃の行動からして理玖から逃げることは想像に易かった。
「橘さん…俺も信じたくなかったけど……多分帆乃くんに何か言ったんじゃないか? お前に近づいたらお前に危害を加える、的なさ…」
「私もそう思う。だからりっくんのメッセすら読めてないんじゃないかな」
理玖は2人の推察が当たってる気がして、頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
「どうすりゃいいんだよ……帆乃くん…」
「………私行ってくるよ、カズキングも行こう」
「ああ」
唯がそういうと理玖は顔をあげた。
「俺もあとから行く」
「いや、お前ゼミのすぐあとにダンスの練習じゃなかった? 今日は遅刻したら死刑になる集まりって」
「あ」
帆乃のことで頭がいっぱいだった理玖は今日の予定などすっかり忘れていた。
今日は午後から通いなれたスタジオで次のidの新曲ミュージックビデオで踊るダンサーチームの人たちと顔合わせと振り入れをする。
「りっくんはidっていう帆乃たんの大事な居場所に必要なんだから、帆乃たんは今日は私たちに任せなって」
「…………鈴野、悪い」
「私も帆乃たんは大事な人だからね。カズキングもでしょ?」
「ああ。絶対どうにかするから。心配すんなよ」
理玖は立ち上がって一樹と唯に頭を下げた。
「ありがとう……そんで帆乃くんのこと頼んだ」
唯は理玖の背中を思い切り叩いて「頼まれた!」と笑顔を見せた。一樹も唯に続くように理玖と肩を組んで「頼りにしてろよ」と笑う。
理玖はゼミに出席し、一樹と唯は駅に向かって歩いた。
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