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眠り姫と王子様? 1

 理玖の帰り支度が終わると4人は崇一の車に乗って、理玖のアパートまで送られた。 「ただいまー」 「あー、歩き回ったから疲れたー」 「とりあえず何か飲もうぜー…あ、レモンサワーあるじゃん」 「お前らとりあえず帰れよ」  理玖が解錠してドアを開けると、唯と一樹が先に入り、我が家のようにくつろぐ準備を始めた。  部屋の電気をつけ、途中寄ってもらったコンビニで買った食料や酒をローテーブルに広げる。  対照的に帆乃は控えめに「お邪魔します」と言って恐縮しながら靴を脱いで上がる。 「あの…俺、本当に家に帰らなくていいんですか?」 「いいんだって。香島さんがなんとかするって言うから」 「……そうですか…」  帆乃は昨日ぶりの理玖の部屋に入ると、妙に緊張する。そんな帆乃が可愛くて理玖は後ろから抱き着いた。 「ひゃっ」 「あー……落ち着くー……」 「理玖さん……あの…」 「ね、チューしたい。いい?」  後ろから顔を覗き込まれお願いされると帆乃は断れるはずもなく、そっと目を閉じた。理玖は触れるだけのキスをして、真っ赤になる帆乃を見て笑う。 「元気出た」 「…あ……よ、よかった…です……」 「よし、充電完了!」  理玖は帆乃から離れると、部屋の床に座って買ってきたものを広げた。さっき買ったばかりのランニングシューズのタグを外したりした。 「まっじでムカついたし…あー! やってやろうじゃん!」  珍しく理玖が負けん気を出して燃えていた。すると一樹はため息を吐いた。 「上手いこと挑発されてんなぁ…あの人か、例のオーロラ姫は」 「そう! もうあの時の俺とは違うんだよ! これ以上文句言わせねぇっつの!」 「そのセリフ、4年前と同じだぜ? 結果コテンパンにされてたじゃん」 「今の俺には帆乃くんがついてる…だから大丈夫なんだよ」 「あのオーロラ姫に錯覚初恋してたのに? ファーストキスの相手じゃん」  一樹から発される理玖の過去に唯と帆乃は驚いて一樹の方を見る。 「ちょ、ちょちょちょ…⁉ どういうこと⁉」  唯に問い詰められそうになった理玖は立ち上がって服を脱ぎ、ボクサーパンツだけになる。 「あ! りっくん逃げる気⁉」 「うるせー、俺は今から10キロ走るんだよ」 「今からぁ⁉」  理玖はクローゼットから練習用のTシャツとハーフパンツを出してそれを着る。そしてリュックからワイヤレスイヤホンと小銭入れを出して、ランニングの準備を整えた。 「んじゃ飯は帰ってから?」 「そうだな…飯の前にシャワー浴びて…筋肉ほぐして柔軟して、からだな」 「軽く2時間以上かかるじゃねーか…ま、いいや」  理玖のスケジュールを聞いて一樹は呆れながら送り出した。 「帆乃くん、ゆっくりしていってね。パジャマとかクローゼットの中にあるから」 「き、気を付けてくださいね。車とか…あ、変な人について行っちゃだめですよ」 「はーい」  変な心配をする可愛い帆乃のおでこにキスをして、理玖は上機嫌で家を出た。 

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