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番外② やっぱり嫉妬する 3

「はいはいはーい、再開するわよー。ナノちゃん、あんた主役をからかわないの」 「ふふ…ごめんなさい」  ナノハは反省している様子は1ミリもない。  華笑の呼びかけで9人のダンサーチームは位置に着く。 「id、こっちに来なさい」  華笑に呼ばれて帆乃は華笑に駆け寄り、華笑と隣り合って鏡に背をつけて座る。 「先生、帆乃くん見るの?」 「当たり前でしょー、ちゃんと相方にカッコいいとこ見せなさいよ」  理玖は不安そうに眉をひそめた。サビの最後の位置にいたのですぐ後ろにいるソフトモヒカンの男性ダンサーに肘で突かれて「頑張れよ」と言われ、妙に緊張していた。  そんな理玖でさえ帆乃はボーっと見惚れてしまっている。 (こんな間近で理玖さんが踊ってるの見るの……ドキドキする……)  1番目のサビの最後から音楽が流れ、2番のメロディーが始まる。既にレコーディングを終えたidの完成版の音源で、帆乃はこうして自分の歌う曲を聴くことが初めてだったので変な感情で胸が締め付けられる。  2番はトラックに乗せまるでラップバトルのような調子で歌詞を語る後半の8小節、2番からずっと一緒にペアダンスを踊っていた理玖とナノハが急接近し、顔をギリギリまで近づけストップした。  ___ さぁ ステージに ようこそ  その言葉を切っ掛けに間奏がスタートすると、ナノハと理玖はニヤリと笑って互いを突き飛ばし、ターンをしてセンターに立ったソフトモヒカンのダンサーに合わせて踊り始める。  モーセの十戒のように道が開かれ、数秒後、理玖を先頭に1列になって千手観音のように腕を美しく動かし、手が引っ込められると、理玖を中心に扇に列が広がって、全員がしゃがんだ。 (turn up!)  さぁ 上げてけ 何もかも ぶち壊して  転調してidが大サビを歌うと同時に理玖とソフトモヒカンのダンサーが左右対称に出てきて、ぶち壊して、を表現するように華麗にキックをした。 (turn up!)  ここからヤツが お出まし お出ましだ  次はナノハとキャップを被った女性が先ほどの2人と同じ位置に出てきて激しい表情で髪を振り乱すような踊りをする。先ほどの2人より迫力があるかもしれない。 (turn up!)  警報は 叩き割る 立ち向かって行け 狂うように さぁ!  最後は誰も出てこず、全員後ろを向いて同じような姿勢で立っている。おそらくここはidの独壇場になるのだろう。  曲の終わりはidの声の余韻で終わる。それが終わった瞬間にセンターにいた理玖だけが振り返り、紳士のように手を差し出した。  そして理玖が架空の誰かの手を取り、一緒に後ろに向いて歩き、ダンサーたちが理玖について行くように歩き出した。

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