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番外③ 男子高校生の食欲とXX♡ 2
夕方になり、帆乃は3人と待ち合わせで決めた大学からは少し離れた駅に到着した。
今日の帆乃は制服でなく、ゆったりした七分袖の紺色パーカーに淡い色のスキニージーパン、そして髪の毛はゆるふわな癖を付けていた。
理玖と唯は悶絶し、駅に向かう人々(特に女性)が帆乃を見て色めきだっていた。
「ここの駅初めてで…ドキドキしました」
帆乃はスマートフォンの地図アプリを閉じて、鞄に仕舞った。そして理玖を見て、一直線に抱き着いた。
「理玖さん…テストお疲れ様でした」
「帆乃くん……」
帆乃とのふれあいはあの嫉妬事件以来で、もう枯渇しきってしまった理玖の愛情がどんどん満たされていく。
「はいはーい、いちゃつかなーい。理玖の理性崩壊5秒前だからー」
一樹が手を叩いて2人のいちゃつきを止める。そして帆乃は唯に奪われる。
「どしたの帆乃たん、元々美人さんだけどもっと可愛くなっちゃってー」
「あ…あの……華笑さんにお洋服プレゼントしてもらって…あと、ロージーさんに髪の毛もやってもらいました……レッスン中にずっとニヤニヤしちゃってたみたいで……やっと理玖さんに会えると思ったら…その……」
「………なにこれ、天使?」
顔を赤らめる帆乃の健気さに愛おしさを感じ、唯はギューッと抱き着いた。
「すーずーのー…お前はー…」
「もうお前らいいから早く店行くぞ! 今日週末なんだし早く行かないとかなり待つんだぞ!」
「はっ! 肉ぅ!」
「肉肉!」
一樹の正論で3人はハッと気が付いて、唯を先頭に速足で肉を求めて焼肉屋に向かう。
まだ午後5時になったばかりなのだが席は半分ほど埋まっていた。4人はすぐに案内されると、卓上のタブレットで注文を始める。
「あれ? りっくんたちは飲み放題つけない? 帆乃たんはドリバーだけど」
「飲み放題ってクーポンある?」
「スタンダードなら100円引きであるけど」
「じゃあそれで頼もう」
成人3人は飲み放題を付けて久々の焼肉に浮足立っていた。帆乃はドリンクバーからホワイトサワーを注いできて、3人も最初の生ビールが到着して乾杯をする。
「地獄の前期テストおつかれー!」
「そして秋の就活と院試勉強は忘れて」
「あと帆乃くんもレコーディングお疲れってことで」
「かんぱーい!」
3人とも久々のアルコールが体に染みて一気にジョッキの半分以上を飲んだ。
そして続々と頼んだ肉が運ばれてくる。量重視のファミリー盛りと、ホルモン盛り合わせ、塩だれの盛り合わせに、キムチに、どんぶりご飯1杯。
「あ? 誰このどんぶり…漫画盛りじゃん」
「あ……それ、俺が頼みました」
「そうなんだ、はい、帆乃たん……って帆乃たん⁉」
3人はどんぶり飯を受け取った帆乃を一斉に見る。帆乃はきょとんとした顔になる。
「帆乃くん…そんな食べきれるの?」
「あ……なんか…ボイトレ始めてから……前は菓子パン2個でなんとか足りてたんですけど、それが全然、5個でも足りなくなってしまって…」
「そんな急に5倍も食べれるようになるもんなん? 元DKの2人」
唯は驚きながら男子高校生を経験した2人に訊ねた。
「いやぁ…俺は今もあんま変わんないかなぁ…理玖は?」
「俺は高校時代はかなり節制してたから、今もそれで胃の容量が形成されてるっぽい。でも帆乃くんはもっと食べたほうがいいかもね」
「ふへ?」
箸を袋から出してご飯を食べようとしていた帆乃は急に撫でられて驚く。理玖は帆乃の耳元で囁いた。
「エッチの時に抱き潰しそうになるもん」
「ひゃうっ⁉」
妖しい声に帆乃は甲高い声をあげて驚き、顔が真っ赤になる。
「おまわりさーん、この男公然わいせつしてまーす」
「通報だな」
唯は肉を焼きながらビールを飲み干す。理玖もいつの間にかジョッキを空にしていたので、次はハイボールを頼んだ。
「りっくん、飲むペース早すぎだし、ご飯食べながらにしなよ? 帆乃たんに迷惑かかる」
「そうだぞ理玖、ほれ、食え」
「ああ? 久しぶりなんだからいいじゃんかー」
一樹は焼けた肉を3枚ほど理玖のタレ皿に乗せた。唯は帆乃のどんぶり飯の上にどんどん肉を乗せていく。
「帆乃たん、こうなったら駄目だ。私たちは明日の昼まで突撃しないから頑張ってね」
「え? どうしてですか?」
「理玖って酔っぱらうと絶倫になるんだよ。前にマジで泥酔した時に俺んちで保護したんだけど、夜中起きて俺のオナホ勝手に開封して明け方までAV見ながらオナってたんだし」
「その話聞いたときは滅茶苦茶引いた」
「お前らマジでやめろ。帆乃くんの前でそんな下品な話してんじゃねーよ」
「下品じゃなくて事実だから! ったく、悪酔いしたら最悪なの自覚しろっつーの」
「ざっけんな、ほら帆乃くん黙っちゃった……帆乃くん?」
3人が理玖の悪癖をやいのやいの言っている間に帆乃は平然とご飯を食べていた。
「あ…ごめんなさい……なんか、一樹くんのその…おなほ? とか、おなったとか…聞いたことない単語だったから分かんなくて…」
成人3人は純粋な少年の言葉によって自分たちの穢れを改めて恥じた。
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