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真夏の逃亡 7
投影確認が終わり、帆乃はスクリーンから出てくるとゆっくり歩いて理玖のそばに行く。
ローブを脱いで長袖シャツ、白パンツというシンプルな服装でいつもの帆乃が現れると理玖は少しだけホッとした。
「理玖さん、さっきの中、すっごく綺麗でした! キラキラしてて…照明で少し眩しかったですけど、理玖さん達にも見せたいなぁって思いました」
最先端のテクノロジーを目の当たりにした帆乃は少し興奮し、子供のようにはしゃいでいた。保護者の気持ちになったダンサーチームは皆、帆乃の頭を優しく撫でる。
「この子がidになるなんてねぇ」
「オバチャン信じられんわ」
idはミステリアスの権化のようなアーティストだと先日のMV撮影で体感したダンサーたちだが、今この時は帆乃に癒されていた。
演者たちがわちゃわちゃしている間にスタンバイが出来たらしく、場内に小泉のアナウンスが響く。
「では10時5分となりました。リハーサルを開始したいと思います。これからは止めることなく全て通して行い、昼休憩後に各セクションの修正等々をすり合わせ確認をしていきます。通しはおおよそ100分を想定しております。会場撤収は20時厳守ですので18時には終了できるよう気合を入れてやっていきましょう。ではお願いしまーす」
会場にいる全員が「お願いします」と挨拶すると空気がピリッと締まる。
「では、idとダンサーチームはそれぞれ最初の位置に」
小泉の指示で帆乃とダンサーチームは立ち位置のバミリがある箇所へ移動した。
「帆乃くん」
「はい」
「頑張ろうね」
「……はいっ!」
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