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真夏の逃亡 21

「あ? 何でこんなお通夜みたいなフインキなの?」  異様な空気に理玖は戸惑いながら、慣れたようにキッチンで適当なグラスを取ってウォーターサーバーから水を注いでそれを一気にゴクゴクと飲み干す。 「別にそんなことないわよ。てか、あんた痩せたんじゃない? ちゃんと食べてんの?」  理玖は上裸状態だったので奏楽は弟の身体を見て眉をひそめる。明人も理玖を見て心配そうな顔を見せた。 「減量してるのか?」 「あー……うん。ここ1ヵ月で3キロ近く絞った…」 「理玖ってそんなに太ってないだろ? むしろ痩せの方だろう」 「ライブで追い込みかけられてんだよ。毎日ランニングしてるし、食事量も減ったかも…」 (そうだったんだ…全然知らなかった……) 「だらしない体になりかけたんだから丁度いいんじゃない?」 「………ケツデカババア」  理玖がそう呟いた瞬間、何故か理玖の頭にアーモンドが投げられ命中し理玖は悶絶する。 「ま、まぁ、食事の質を見直す良い機会になったってことだろ」  明人が笑ってフォローを入れた。  立ち上がった理玖は「ぐぬぬ」と苦虫を噛むような顔をしながら帆乃に近づくと、帆乃の腕を掴んで立ち上がらせた。 「俺らもう疲れたから寝るからな。おやすみなさい義兄さん!」 「へ…⁉ あ、えっと…」 「あ、あんたの机の2番目の引き出しにゴムあったわよー」 「やかましい!」  理玖は怒りながら帆乃を連れてリビングを出て、2階にある自分の部屋に向かった。  理玖は正月の帰省でも明人の手料理を食べて速攻帰宅した為、自室に入るのは2、3年振りであった。  ドアを開け照明を点けると、しっかり整理整頓と清掃が行き届いている部屋だった。 「義兄さん……」  恐らく理玖がいつでも帰ってきていいように明人が常に掃除をしてくれているのだと分かった。  帆乃は理玖に手を引かれたまま、その流れで整ったベッドに座らされ、そしてすぐに理玖に押し倒される。  帆乃を押し倒した理玖はそのまま帆乃に覆いかぶさると、数日振りのキスをする。

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