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4-06-2 モデルのお仕事(2)
僕と雅樹はベンチ椅子に座る。
雅樹が言った。
「ふぅ。一時間ぐらいって言っていたっけ?」
「確か、そう」
「じゃあ、あと1回ってとこか」
「そうだね」
僕は答える。
「入るよ」
黒川さんが入ってきた。
「今ちょっと教室で議論しててさ。ねぇ、お二人さん。ちょっとお願いがあるんだけど」
なんだろう。
僕達は顔を見合わせる。
「その……」
黒川さんは、言いずらそうにもじもじしている。
そして、深呼吸をすると、一気に言った。
「下も脱いでほしいんだけど、いいかな?」
「下って、全部?」
「そう、全部」
やっぱり、そう来たか……。
ヌードって言うから、覚悟はしてきた。
教室にはいやらしい雰囲気はない。
でも、やっぱり裸は恥ずかしい。
「どうする? めぐむ」
雅樹はどっちでもいいようだ。
「どうしよう……」
雅樹が悩んでいると、黒川さんが言った。
「あっ、タオルで一応見えないようにするからさ。お願い。なんか、みんなモチベーションがどんどん上がっちゃてさ、次最後だから、どうしても書かせてほしいって声が多くて」
黒川さんは、お願いと手を合わせる。
「しょうがない。雅樹やろう!」
僕は決断する。
「めぐむがそう言うのなら」
僕と雅樹はタオル一枚を腰に巻いて、教室にあらわれる。
いままでと違って、みんなの視線に熱いものを感じる。
「雅樹、なんか、とても恥ずかしい」
「もうこうなったらドンとこいだ!」
雅樹は男らしく言った。
今度は白いシーツをかぶせたソファを使うようだ。
黒川さんが指示をする。
「高坂君がまず、ソファに座って。青山君は、高坂君の膝の上に座る。そう横向きで」
裸の雅樹の上にちょっこり座る。
「高坂君は、青山君を横向きでだっこするように抱きかかえて」
雅樹も指示通りにする。
「青山君は、腕を高坂君の首にまわして。視線は互いを見つめ合う感じで。そう、そう!」
黒川さんは、いいよ、いいよ、と構図を確認する。
「ちょっと、ごめん。タオルなんだけど、邪魔。高坂君のは取ってしまって、青山君の上からふわっとかける感じにしたいんだけどいいかな?」
そう言うと、返事を聞かずに雅樹のタオルをとり、僕のタオルの縛り目をほどき広げる。
「うん、いい感じ!」
また構図を取り始める。
この位置は、危険だ。僕のお尻に雅樹のペニスがちょうど触れる。
「ちょっと……」
僕が言おうとしているのに、まったく聞いていない。
「みんなどうかな?」
黒川さんは、みんなに確認をとる。
誰かが言った。
「部長、せっかくなので、そのままキスはだめでしょうか?」
えっ!
僕は、雅樹に小声で話しかける。
「ちょっと、変な空気ができてない?」
「まったく。だんだんエスカレートしているな」
雅樹は、返す。
黒川さんは申し訳なさそうに、僕達に言った。
「お二人さん、ごめん。嫌ならいいんだけど、キスしてもらうことってできないかな?」
雅樹は、ふぅ、とため息をついた。
「まったく、翔馬にはちゃんと貸しを返してもらうかな!」
「雅樹するの?」
「めぐむは、嫌か? なら断るけど」
「わかった」
雅樹が覚悟ができているならそれでもいいか……。
「ゴメンね、ありがとう!」
黒川さんは、部員に分かるように言った。
「じゃ、高坂君は、そのまま青山君にキス!」
拍手が起こる。
もう、後には引けない。
雅樹は、囁いた。
「めぐむ、キスするよ!」
「うん」
僕は、目を閉じた。
雅樹は唇を僕の唇に合わせる。
一部のメンバからはキャーと声があがる。
冷やかしでは無い。
賞賛の声だ。
教室の熱気は、確実にあがっている。
「じゃ、みんな始めて!」
無事に20分間を耐え切った。
僕達は、ねぎらいの拍手を受け、準備室へ退出する。
服を着終えたところで、黒川さんが入って来た。
さっきまで、ガタガタと教室の片付けの音がしていたけど、今はもう静かになっている。
話し声もしてこない。
部活は、今日は終わりのようだ。
黒川さんはお辞儀をした。
「ありがとね。二人とも。とっても、いい絵ができそう!」
「それはよかった」
僕は答えた。
黒川さんは、にっこりと嬉しそうな顔をした。
「それにしても、あなたたち最高のモデルだわ……またやってみない?」
「いや、遠慮しておくよ」
雅樹が即答する。
「だって、高坂君と青山君の表情……二人とも頬を染めてすごく素敵だった。なんだか……そう、何か快感に耐えるような……ああ、わたしまで、ドキドキしちゃったわ」
僕と雅樹は顔を見合わせた。
「それはよかったね……」
雅樹は、棒読み口調で答えた。
そんな、冷ややかな雅樹の態度にも、黒川さんは動じず、
「みんなの絵ができたら、知らせるね。見に来てよ!」
と言い、出口に向かいながら「気が向いたら、またお願い!」と片目をつぶった。
黒川さんは、扉に手をかけたところで振り向く。
「あ、そうそう、ここの鍵、職員室に届けてもらっていい?」
「わかった」
雅樹は答える。
「じゃあ、お先に」
黒川さんは部屋を出ていった。
雅樹は部屋の鍵をかけると、僕を抱き寄せる。
そして、キスをする。
すぐに舌を絡ませる。
「はぁ、はぁ、めぐむ、めぐむ……もう我慢できない、ちゅぱ、ちゅぱ」
「んっ、んっ、僕も……」
口から涎がたれる。
はぁ、はぁ、二人の息が荒い。
「なぁ、めぐむ。俺達、繋がっていたのって、バレていたと思う?」
「うっ、うん……多分、大丈夫だったと思うけど……」
そうなのだ。
最後の回は、ふわっとしたタオルの中では、実は、雅樹のペニスは僕のアナルの中に挿入されていたのだ。
それも、奥の奥まで……。
だって、あの状況で僕達がこうならないわけがないんだ……。
二人とも裸、それに抱っこ、キス。あそこ同士が触れ合う。そんな、状況……。
思い出しただけでも、背中がゾクゾクしてくる。
何人もの目にさらされていたんだ。
タオルで隠されていたとはいえ、男同士のエッチシーン。
もし、万一、タオルがずれ落ちでもしてたら……そんな風に思うと……ああ、なんてエッチ。
さっきの黒川さんの感想には、冷静を装ったけど、正直ドキドキしていた。
雅樹も同じ思いだったのだろう。
雅樹は、いつになく不安そうに言った。
「でも、めぐむ、体を小刻みに震わせていただろ? あれ、感じていたんだろ? 何人かにはバレていたかもな……」
「だって……気持ちよかったんだもん。バレたらどうしよう、って思ったらもう、なんだか、頭が真っ白になって……」
「そうだよな。俺達のエッチをみんなに見られていると思うと……俺も興奮したよ」
「うん、固くておっきかった……ああ、ダメ。思い出しただけで……おかしくなりそう」
僕は、激しく雅樹の口を吸い始める。
雅樹も、それを受けて、僕の唇を吸う。
二人の唾液が混ざり合う。
僕は、手を伸ばし雅樹の股間を触る。
やっぱり固くなったままだ。
「んっ、んっ……ぷはっ、雅樹のペニス。まだこんなにカチカチ、すごい……んっ、んっ」
「当たり前だろ? めぐむの中に出したかったのを我慢してたんだからさ……」
雅樹は、僕の口の中で、れろれろとかき回す。
ぴちゃ、ぴちゃ、と、いやらしい音が漏れる。
「なぁ、めぐむ、このままここで……いいだろ? んっ、んっ……」
「……うっ、うん……して……さっきのポーズで。僕のお尻の中に今度は思いっきり出して、はぁ、はぁ」
「ああ、いいぜ、はぁ、はぁ……」
僕達は、キスを続けながら、せっかく着た服のボタンを外し始めた。
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