26 / 60
4-10-3 温泉宿へ(3)
昼食の準備が始まった。
中居さんが、次から次へとお部屋にお皿を運んでくる。
雅樹は、その間に飲み物を注文する。
「全部、お持ちしますね」
「はい、お願いします」
雅樹が答える。
懐石だと、食べ終わったら次、というイメージがある。
でも、ランチだからそんなに手間を掛けられないのかな、と勝手に想像する。
テーブルの上は、二人分とは思えないほどの皿が乗った。
「ご飯のおひつも置いておきます。では、ごゆっくり」
中居さんは、お辞儀をして去って行った。
「これは、豪華だな!」
「本当に、すごいや!」
僕と雅樹は、テーブルを見回し思わず声をだした。
さっそく、雅樹のお腹が、ぐぅーとなる。
雅樹は照れ笑いをすると、手を合わせた。
「じゃあ、いただきますか?」
「うん。たべよう!」
僕と雅樹は、手を合わせてお辞儀をした。
「いただきます!」
どれも、これも美味しい。
やばい。
ランチなのに、こんな食事いいのだろうか……。
山の幸、海の幸、肉や刺身に天ぷら。なんという豪華さ。
しかも、こんなに美味しくて。
しばらくの間、美味しい、美味しいと連呼しながら箸を進めた。
半分ぐらい平らげたところで、雅樹は思いついたように言った。
「あっ、そうだ。めぐむ、これいるか?」
僕に小鉢を勧める。
「えっ? どうしたの? 苦手なものでもあった?」
「いや、ほら、すこし食べる量減らそうかなって思って……」
あっ、しまった!
僕は、なにも考えずにバクバク食べてしまっていた。
「あーっ。忘れていたよ。僕も、ダイエットしなきゃ!」
そう言っている間にも箸は止まらない。
パクパク。
「でもさ、めぐむ。美味しくて、正直残すのもったいなくない?」
雅樹も、食べるペースは変わらない。
パクパク。
「そうだよ、雅樹の言うとおり。残すのは料理を作った人に失礼だよね」
「うんうん。確かにそのとおりだ。めぐむ、いいこと言うな」
むしゃむしゃ。
「そういえば、ダイエットってお米を減らすのがいいって聞いたよ。おかずは全部食べようよ」
「よし、ご飯をなしにしよう!」
パクパク。
しばらく、無言で食べ続けた。
雅樹が切り出した。
「なぁ、めぐむ。俺さ、貧乏性でさぁ。ご飯が無いと、おかず食べれないんだよ、やっぱり」
「雅樹もそうなの? 実は僕も……やっぱり、ごはんないとね」
「じゃあさ、一杯だけってどう?」
「うん、いいね、そうしよ!」
僕と雅樹は、おひつからご飯を一杯ずつ盛る。
うん。
やっぱり、ご飯と一緒だと尚美味しい!
ほっぺが幸せ……。
「やっぱり、美味しいね!」
「ほんとうに、うまい!」
パクパク。
また、しばらく無言で食べ続ける。
「あーっ。しまったな」
「どうしたの?」
「最後のステーキ。これさ、大事にとっておいたんだけど、ご飯なくなっちゃったよ……」
「そうなんだ。僕は、この煮物なんだけど。味が少し濃くて、ご飯がいるんだ……」
暫し沈黙。
雅樹は、恐る恐る提案した。
「もう一杯ってどう?」
「そうだね、これで絶対に終わり。もう一杯だけ」
二人とも、これはしょうがないもんな、と、うんうんと頷く。
僕と雅樹はおひつからご飯をもう一杯ずつ盛った。
そして、またもくもくと食べ始める。
ああ、よく味が染みている……。
口いっぱいに美味しさが広がり、ご飯がどんどん進む。
今度は、おかずはしっかりとなくなった。
僕はお茶をすする。
「ふぅ、食べた、食べた。あぁ美味しかった」
「うん。久しぶりの懐石料理、うまかった!」
雅樹もお茶をすすり始める。
お漬物があったので、味見をしようとカリカリとかじった。
ん?
これは?
「ねぇ、雅樹。このお漬物食べてみてよ」
「ん? これか?」
「そう」
雅樹も、お漬物をカリカリとかじった。
「なにこれ! すごくうまい!」
「でしょ?」
「これさ、ご飯に絶対合うと思うんだよ。ちょっと試してみよう!」
「うんうん。確かに合いそう。僕もちょっと試してみる!」
二人とも、我先にと茶碗にご飯を盛る。
そして、お漬物をご飯に乗せると、口いっぱいに頬張った。
「やべぇ、最高にうまい!」
「ほんと、幸せ!」
パクパク……。
僕と雅樹はお腹が膨れて寝ころんだ。
「もう、食べれない……」
「僕も、もうだめ……」
目を閉じて満腹感に浸っていると、雅樹がつぶやいた。
「結局さ、俺達3杯食べたんじゃない? ご飯」
「……うん。そうだね。3杯だね」
「……」
「……」
「あはは。ダイエットっていっているのにな」
「ふふふ。意思弱いよね」
「でもさ、俺はともかく、めぐむは3杯ってすごくない?」
「うん。こんなに食べたの久しぶり!」
僕が嬉しそうにそう言うと、雅樹もにこっと笑った。
ああ。
こんなに幸せでいいのかなぁ。
大好きな人と二人っきりで出かけて、一緒に温泉に入って、美味しいものを食べて、こうやって微笑み合う……。
僕は、雅樹の方に手を伸ばして雅樹に触れようとした。
すると、僕をじっと見ていた雅樹が言った。
「めぐむ、お腹、出たんじゃない?」
「なっ! なんてこと言うの!」
僕はごろごろ転がりながら、仰向けに寝そべる雅樹の上にのしかかる。
そして、うつ伏せで覆いかぶさった。
「めぐむ! おもい、おもいよ!」
「ふふふ。意地悪の仕返し!」
でも、なんか落ち着く。
雅樹と密着していると……。
僕は自然と雅樹の浴衣をはがし、胸板にキスをした。
そして舌を這わす。
「ねぇ、雅樹……」
「なに?」
「僕ね。言っていなかったかもしれないけど、雅樹が上半身一回り大きくなって、ドキっとしちゃった」
「え?」
雅樹の瞳が大きくなる。
「うん。だからね。胸板も肩も背中も、僕は好きかも。いまの雅樹の体」
「本当か?」
雅樹は、嬉しそうな声を上げた。
あれ、なんか、雅樹のあそこに当たっている部分がツンツンされる。
「じゃあさ、俺も言ってなかったからいうけどさ」
「うん」
「めぐむのお尻とか二の腕とか、こうやって触るとさ、柔らかくってものすごく俺好み」
そう言っている間にも、雅樹は僕のお尻をいやらしく揉んでいる。
そして、僕の二の腕を押さえて、はむっと咥えた。
「あっ、あん……」
思わず、喘ぎ声が漏れる。
雅樹のあそこが、むくっと起き上がるのを感じる。
「ねぇ、雅樹、おっきくなってきてない?」
「はぁ、はぁ、それはそうだよ。こんないやらしい、めぐむの体を触っているんだもん」
雅樹は、執拗に僕のお尻を揉む。
僕は、あまりにも気持ちよくて体を反らす。
僕の浴衣はいつの間にかはだけている。
黒いレースのブラがあらわになる。
「あっ、あぁん……雅樹、でもよかった」
「なにが?」
「僕の体、雅樹好みなら、ダイエット要らないよね? あっ、だめ……」
「はぁ、はぁ、そうだな。俺もめぐむ好みだから、ダイエットしなくていいんだよな」
「あっ、あっ、ううん、違うよ」
「えっ、なにが?」
雅樹の僕のお尻を揉む手が止まる。
僕は逸らした体を戻すと、雅樹の鼻先まで顔を近づける。
「だって、ここは僕、やだもん」
僕は、雅樹の腰の横のお肉をぎゅっと摘まむ。
「いてー!」
「ふふふ。でも、明日からでいいからね」
僕はそう言うと、雅樹の唇を塞ぐ。
んっ、んっ、ぷはっ……。
「ねぇ、雅樹。ちょっと汗かいたから、露天風呂にいかない?」
「いいよ。めぐむは、露天風呂でエッチするの夢だったんだもんな?」
「えっ、そんなこと言ったっけ?」
「言ってないよ。なんだ、図星か? 相変わらずエッチだな。めぐむは。ははは」
「もう!」
僕は、雅樹の鼻をぎゅっと握った。
そして、痛がる雅樹の鼻にチュッとキスをした。
雅樹は、優しい笑顔を僕に向ける。
ああ、キュンとする……。
まだまだ、幸せになるだ僕は。
今日は、大好きな人と、ずっとイチャイチャ。
そして、思う存分エッチするんだ。
僕は、欲張りなんだからね! ふふふ……。
ともだちにシェアしよう!