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4-11-3 美映留三校祭(3)

学校に戻ると、僕はすぐに山城先生のペニスをしゃぶった。 でも、先生はいつになくすぐに射精してしまう。 あれ、おかしい……。 そんなにテクニックが上がったはずはない。 僕が山城先生を問い詰めると、先生は照れた顔をした。 「いやー、恥ずかしい。今日の青山は女子生徒みたいで。その背徳感がな……」 そういえば、今は女子の制服を着たままだ。 「背徳感って……男の子にフェラしてもらう方が、よっぽど背徳感じゃないですか!」 「まぁ、それはそうだが……」 「つまり、女子生徒のほうがいいって事なんですよね?」 「ああ……そりゃ、可愛いほうがいいからな。おい、おい、睨むなよ」 実は知っていた。 山城先生は、キレイな女性が好みだってことを。 アキさんがあんなに美人なんだから、そうだよね……。 でも、悔しい。 たかだか女子の制服に、僕は負けた。 敗北感。 山城先生は僕の肩を叩いた。 「青山、気にするなよ。男装の青山だって十分に可愛いんだから」 「先生、男装って。僕はもともと男ですけど!」 「そうだよな。ははは。でも、どっちも青山だろ」 確かにそうだ。 それなら、先生の好みに合わせてあげるのでもいいかも。 「先生、この制服貸してくれますか?」 「ん? いいけど」 先生は、ベッドの脇にあるタンスを指さした。 「それ、学校の予備だから。そこのタンスにしまっておいてくれればいいよ」 「ありがとうございます。今度からフェラするときは、この制服を着るようにします」 「そっか。なんか、気を遣わせちゃったか?」 「いいえ。大丈夫です」 僕は、萎えている先生のペニスをむぎゅっと握った。 「いてて! ぜんぜん大丈夫じゃないじゃんか!」 それから数日が経った。 僕は、美映留3校祭の事はすっかり忘れていた。 突然、翔馬、ジュン、雅樹、そして僕の4人は保健室に呼び出された。 この4人が同時に呼び出されるなんて珍しい。 僕達は、保健室に向かって歩き出す。 「おい、雅樹。お前何か悪いこと、したんじゃないだろうな?」 翔馬が言った。 雅樹は、ムッとして言い返す。 「翔馬、お前こそあやしいぞ!」 「まさか! いや、もしかして、俺か?」 なにかを閃いたのか、翔馬は、何やらカバンの中をゴソゴソと探し出す。 そして、雑誌を手にして言った。 「じゃーん。これが見つかったかな?」 一同、雑誌に注目する。 翔馬は自慢げに、みんなに見せる。 『巨乳っ娘大辞典』 ぶっ。 一同吹く。 「あはは。翔馬、お前学校にエロ本もってくるなよ!」 雅樹が笑いながら言った。 ジュンも「大辞典だって」と、大笑いしている。 「いやー。この本さ。すごいんだぜ。雅樹に貸してやろうと思ってさ」 そう言って、翔馬は雅樹に本を押し付ける。 雅樹は、いいよ、いいよ、と言って断っている。 雅樹は僕の耳元でいった。 「おい、めぐむ。怖い顔で睨むなよ。翔馬が勝手に持ってきたやつだからさ」 はっ。 つい、雅樹を睨んでしまった。 僕は、微笑みながら、「いいよ、雅樹が見たいんだったら」と言った。 「めぐむ、その微笑み、余計に怖いんだが……」 雅樹は、翔馬が諦めたのでホッとした顔をした。 「なんだ、雅樹。遠慮なんかしてさ。いつでも貸してやるからな。ははは」 翔馬はそう言って、大事そうにカバンにしまった。 「ふふふ。翔馬は、結局、その本を自慢したかっただけなんでしょ?」 僕が指摘すると、「バレたか」と言って笑った。 そこへ、横からジュンの声。 「まてよ、もしかしてボクのやつが見つかったとか?」 ジュンは、手に持っていた雑誌をみんなの前にだす。 『SM嬢グラビア写真集』 先ほどから、カバンをごそごそしていると思ったら……。 一同、おー。と低い声を出した。 「すっ、すげーな。ジュン。SMかよ!」 「まぁね」 ジュンは鼻を高くしている。 みんなでペラペラとめくる。 「うわー、いやらしい」 「まじかよ!」 驚きと、感嘆の声が上がる。 僕も、横目で覗く。 どこかで、見たような女性の姿。 セクシーなボンテージファッション。 ああ、そうか片桐先生のあの姿。 なるほど。 ジュンは、片桐先生の趣味にあわせようとしているのか。 なんとも、いじらしい。 「おい、ジュン。これはだいぶ上級者向けなんじゃないか?」 雅樹がジュンに言った。 「まぁね。ボクはオカルト研究会だよ。オカルトの世界では、SMファッションはユニフォームみたいなものだから。まぁ、こんなの入門書みたいなものだよ。ふふふ」 自慢げに答えた。 「おー。すごいな……」 雅樹と翔馬は食い入るように眺めている。 なんだ。 ジュンはもとから、こういうSMっぽいのが好きだったのか……。 好きな人と一緒の趣味だったらこんなに嬉しいことはない。 良かったね、ジュン。 僕は思わず、微笑んだ。 翔馬が言った。 「ジュン先生! 俺にこの本を貸してください、お願いします!」 翔馬はジュンに拝む仕草をする。 「しょうがないなぁ。いいけど、アレで汚さないでよね」 口調の割に、嬉しそうだ。 翔馬は、やったーと言わんばかりに喜ぶ。 「よっしゃー! ありがとうジュン。アレが引っかからないように気を付けます!」 「うんうん。でもアレの後はちゃんと手も洗ってよ」 「わかった。でも、アレしながらはいいだろ?」 「アレの最中はしようがないかな……」 僕と雅樹は、二人の会話に、思わず噴き出した。 「二人とも、もうやめろよ! あはは」 「『アレアレ』いわないで!」 僕達の突っ込みに、翔馬とジュンも大笑いした。 こんな、ボーイズトークをしている間に、保健室に到着した。 僕達が保健室に入ると、中には山城先生と黒川さんがいた。 この組み合わせ。 なにか嫌な予感がする。 これは、もしかしなくても3校祭のことっぽいな、とドキドキし始める。 翔馬は、黒川さんの姿をみて、さっきまで緩んでいた口元がキリリとなった。 かわいいな。翔馬は。 すぐに顔にでる。 山城先生が言った。 「よし、みんなこっちに来て座ってくれ」 まず、最初に口火を切ったのは黒川さんだ。 「皆さん、集まってもらってありがとう。今日はお願いがあって、呼び出しさせてもらいました」 やっぱりか……。 僕以外は、なんだ、なんだと、囁く声。 「まず、最初に、青山君。やっぱり、青山君に代理でいってもらって正解。グッジョブよ!」 やめて! みんなの前で。 秘密なんだから! 翔馬が耳元でささやく。 「おい、めぐむ。代理ってなんだ? なんで、褒められているんだ?」 「なんでもないよ……」 僕は答える。 「そっか、いいな……」 翔馬は、褒められて羨ましいといわんばかりだ。 黒川さんは続ける。 「えっと、どこから話したらいいかな」 黒川さんは、山城先生を見る。 山城先生は、無言でうんと頷いた。 「じゃあ、最初から。今年、美映留市の三つの高校で合同文化祭をやるんだけど……」 黒川さんが話し出す。 僕は知っている内容。 雅樹、翔馬、ジュンは初めて聞く内容に、何が関係するのかわからず、ボォっとして聞いている。 「と、言うわけなの。わかった?」 「なるほど、美映留女子で、美映留学園と勝負をするのか。わかった」 翔馬は一応、黒川さんの説明を聞いていたようだ。 雅樹とジュンは明らかに聞いていない。あくびをして眠そうだ。 「その勝負に、あなた方4名も出場するのよ」 やっぱりか。 嫌な予感が当たった。 3人とも、口をあんぐりさせた。 「ちょっと、まって。よく聞いていなかったんだけど、何で勝負するんだっけ?」 雅樹は、慌てふためいて黒川さんに尋ねた。 「それは、これから説明する」 黒川さんは一呼吸入れる。 「あなた達、ペアになって、美映留学園の生徒と対決をするの」 「うん。わかった。それで、その種目って?」 「それはね。ちょっと言いづらいんだけど。そうね、BLって知っている?」 「BL? あぁ、男同士の?」 翔馬が聞き返す。 「そう、そのBL。その……あなた達、男同士のカップルになって愛情の深さで競い合ってほしいのよ……」 黒川さんは、少し恥ずかしそうに言った。 翔馬はすぐに答えた。 「黒川さんの頼みだったらよ。俺やるぜ。そのBLってやつ」 「ちょっと、まってよ翔馬」 僕は止める。 そして、山城先生とも黒川さんともつかない方に向かって言った。 「僕達は3年生の受験生です。この時期なので、1年生か2年生にお願いできないでしょうか?」 山城先生は口を開く。 「うん。もっとも意見だな青山。黒川、考え直すか?」 「先生はだまってて!」 一同、その迫力にビクッとする。先生もしゅんとした。 「いい! 戦うからには勝たなくては意味がない。わかるでしょ?」 よくわからないけど、みんな恐れをなして、うんうんと頷く。 あぁ、僕が適当に出した、勝負するっていうアイデア。 黒川さんのハートにミートしてしまったかぁ……。 「たしかに、他の何人かの生徒にも出てもらうつもりです。でも、うちの高校で、あなた達エースに敵う人っているかしら? いないわよね。だとしたらエースが出るべき。ちがう?」 「エースって?」 ジュンがぼそっと言った。 「なんだろうね?」 僕も小さな声で答えた。 黒川さんは続けた。かなり興奮気味だ。 「えっとね、カプは、いやペアのイメージはできているのよ。森田君と相沢君、高坂君と青山君ね」 ジュンが言った。 「男同士で何かやるのはわかったんだけど、生徒同士限定? 先生はでてもいいの?」 突然のジュンの言葉に山城先生はビクッとした。 俺を巻き込むな! と言わんばかりに、無言でやめろ、やめろのリアクション。 「残念ながら。そうね、先生方が出れるなら、もっとバリエーションできるのよね。山城、森田とかよさそうね。あと……」 語尾の方が、ボソボソと独り言になっている。 山城先生は、ほっとした表情を浮かべている。 「片桐先生が出るんだったら、文句なかったのにな……」 ジュンも独り言を言った。 そして、ジュンは溜息をついて、黒川さんへ言った。 「黒川さん、分かったよ。ボクでるよ。翔馬もいいんでしょ? 出ても」 「あぁ、俺はかまわないぜ」 翔馬は即答する。 黒川さんは、大喜びして、飛び上がらんばかりだ。 雅樹と僕は顔を見合わせる。 「どうするよ、めぐむ」 「どうしようか、雅樹」 雅樹と僕がうーんと唸っていると、翔馬が間に入って肩を組む。 「でようぜ! 二人とも。一緒に楽しもうぜ!」 翔馬の笑顔。 そんな顔で頼まれちゃったら。 それに……。 嘘の設定で恋人をやるわけだから、逆に本当の恋人同士だってバレないかも。 雅樹も同じ思いのようだ。 僕は目くばせをした。 雅樹が口を開ける。 「わかったよ。出るよ、そのBLってやつ。めぐむもいいよな?」 「うん。翔馬には負けたよ」 翔馬は大喜びでガッツポーズをとった。 「よっしゃー! この4人で美映留学園のやつらをあっと言わせてやろうぜ」 やろう、やろうの声の中に、黒川さんの声。 「うん。みんなありがとう」 よく見たら、黒川さんは目をこすっている。嬉しくて泣いているようだ。 翔馬はすかさず、ハンカチを手渡す。 「ありがとう、森田君……」 翔馬は頭を掻いて照れている。 雅樹、ジュンと僕はすかさず、肘で翔馬をつついた。 「ちょ、なにするんだよ、お前ら。ははは」 4人顔を合わせて笑った。

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