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4-19-4 高校の思い出 愛の形(2)

僕は、体育座りをして、気持ちよさそうにエッチをする二人を眺める。 ふぅ。 ため息が出る。 せっかくの念願の雅樹とのエッチ。 これからだ、って時に……。 「でも、どうして? こんなになっちゃたんだろう」 あんなに気持ち良かったのになぁ……。 はっ!? 「もしかして、気持ち良すぎて!?」 「うんうん。きっと、それだな! 久しぶりのエッチだし、めっちゃ気持ちいいからな……」 誰かが僕の独り言に相槌をうつ。 「そうそう、きっとそうだね……」 僕は声のする方を見て飛び上がる。 「……って! 雅樹? どうしてここに? びっくりした!」 半透明の雅樹がそこにいたのだ。 雅樹は、ポリポリと頭をかいている。 「いや、さっきからここにいるけど……」 雅樹は困った顔をした。 僕達は、今の状況について話し合った。 目の前で、快楽に溺れている二人。 激しい男同士の睦み合い。 それを冷静に見守る僕達。 雅樹は、結論を出した。 「幽体離脱っていうより、『理性』ってことじゃないのか? 俺達」 「なるほど。目の前の二人から僕達、つまり『理性』が分離したってこと? ね」 目の前の二人は、更に激しさを増す。 「あっ、あっ、だめ、雅樹……」 「めぐむ、めぐむ、気持ちいい、はぁ、はぁ……」 目の前の僕は横向きにさせられて、片足を高く上げさせられている。 そして、目の前の雅樹は、そのまま挿入すると激しく腰を動かす。 僕達は、エッチしている二人を冷静に眺めている。 「それにしても、いやらしいな、俺たちのエッチって……」 「うん。こうやって見ると、思った以上にいやらしいね……」 二人顔を見合わせる。 「はぁ、羨ましい……」 同時に声に出す。 クスクス笑いだした。 笑い止むと、雅樹はポツリと言った。 「俺って、あんなに声出しているのか?」 「うん、いつもそうだよ」 「やばい、めちゃくちゃ恥ずかしい……」 雅樹は、いつになく顔を赤くした。 僕も思った事を口に出した。 「僕も、あんなにエッチな声を出している?」 「ああ、だいたいそうだな」 「あーもう、気が付かなかった。恥ずかしい……」 僕も、顔から火が出そう。 目の前の二人は、顔を紅潮させ息が弾むように荒い。 その表情は、目をとろんとさせて幸せそう。 愛し合う事。 それ以外は何も無い。 そんな、二人だけの世界が広がる。 目の前の雅樹は言った。 「めぐむ、どうだ気持ちいいか? はぁ、はぁ」 「あっ、あん、激しいよ雅樹、僕、おかしくなっちゃう……あっ、あっ」 目の前の雅樹の腰のふりは、休む事なく続く。 そして、一段と激しい突き上げ。 パン、パンという音色は一段階ボリュームが上がる。 僕は、目の前の雅樹を観察する。 僕の中に押し込む動きに合わせ、はぁ、はぁ、と荒々しい息遣い。 目付きは野獣のように鋭い。 あごを上げ、たまに気持ち良さに堪えるように目をギュッと閉じる。 いきそうになるのをグッと我慢しているんだ。 でも、僕が気持ち良くなって喘ぎ声を出すと、満足そうな優しい目をする。 ああ、胸がキュンとする。 僕は、エッチをしている時って自分の事で精一杯。 だから、雅樹が本当に気持ちいいかってよく知らない。 だけど、こうしてじっくり見るとわかる。 雅樹も気持ちいいって事を……。 ああ、良かった……本当に。 僕は心をホッとなでおろす。 僕とのエッチで雅樹もちゃんと気持ちいいんだね。 でも、それでいてちゃんと僕を気持ちよくさせようって頑張っている。 それが分かるよ。 優しい雅樹。 隣で、うーんと唸りながら見ている雅樹が言った。 「めぐむ、俺ってあんなに、パンパンいって激しく突いていたんだな。ごめん、痛かっただろう」 「ううん、気持ちいいから……いいのあれで!」 僕は、慌てて答える。 雅樹のエッチは最高に気持ちいい。 それに、今のままがいいんだ。 変に気を使われちゃったら、雅樹のすべてを受け入れるっていう僕の喜びが半減してしまう。 ところで、僕の方は、さっきから目を逸らしていた事実がある。 恥ずかしいけど、流石に謝っておきたい。 「雅樹、僕こそ、あんな、いやらしい顔で喘いでいたなんて……引いちゃうよね、ごめんね」 「いや、何言っているんだよ! あの表情がたまらないんじゃないか!」 雅樹は、慌てて否定をした。 さて、目の前の二人は、正面に向き直り、僕は雅樹に両足を持ち上げられ、抱っこされながら挿入を続けている。 そのまま突き上げられる。 パーン、パーンっと宙を舞う。 僕は気持ちよさそうに喘ぎ声を上げている。 雅樹は、そんな二人を眺めながら言った。 「なぁ、俺達って、あの本物達がいかないと戻れないのかもな。あーあ、残念だな、あんな風にエッチしたかったのに!」 「うん、残念……」 僕は、言葉を続ける。 「でも、雅樹、僕はさっきからちょっと変なんだ」 「何がだ?」 「僕達って『理性』なんだよね? でも、キスしたいんだけど……」 僕は、上目遣いに雅樹を見る。 雅樹は、驚いた表情をした。 「えっ! 偶然! 俺もだよ!」 雅樹は、僕の両肩をガシッと掴んだ。 僕は叫んだ。 「じゃあ、キスしようよ!」 「んっ、んっ、んっ、ぷはっ、雅樹、とろけそう!」 「やばい、気持ちいい。キスでいっちゃいそう!」 理性のはずの僕達。 だけど、やっぱりキスは気持ちいい。 舌を弾き合い、絡め合い、そして、甘噛みをする。 二人の唾液がくちゅくちゅと音を立て、糸を引く。 目の前の二人は、いよいよクライマックス。 お互いの名を言いながら、激しく上下に動いている。 「見てよ、あの二人、もういきそうな表情しているよ」 「じゃ、こっちも負けてられないな!」 雅樹は、目の色を変える。 「ぷっ、雅樹ったら、自分達と勝負だなんて。ふふふ」 「ほら! 笑ってないでキスするぞ!」 「うん!」 僕達は、再び唇を合わせ、舌を絡め合う。 「やばい、キスだけでいきそう、はぁ、はぁ」 「ちゅぱ、ちゅぱ、僕も……」 「雅樹、雅樹、いく、いく!」 「めぐむ、俺のめぐむ! 出すぞ! めぐむの中に」 僕は、一足先に頭の中が真っ白になって快楽で満たされた。 間も無く、雅樹もいった。 お腹の中に広がる雅樹の愛のミルク。 温かい。 僕のお腹いっぱいに満たされていく。 ああ、幸せ……。 雅樹のペニスは、まだ僕のアナルの中。 ビクビクと痙攣している。 ありがとう。ペニス君。 僕を幸せにしてくれて。 僕は、お腹の下の方を大事に抑えながら言った。 「はぁ、はぁ、ねぇ、雅樹。まだ抜かないで……幸せを感じていたいから……」 僕がそうお願いすると、雅樹は、わかった、と言って僕をぎゅっときつく抱きしめた。 僕達は、そのままソファになだれ込んだ。 今日のエッチは、何かいつもと違ったような気がする。 久しぶりだから? きっとそれだけじゃない。 僕は、エッチの最中に気付いた事を話す。 「ねぇ、雅樹。僕、変な夢を見たような気がするんだ」 「めぐむもか、俺もだ。偶然だな」 雅樹も何かピンと来ているようだ。 でも、はっきりとそれが何かはわからない。 「なんか、僕達を外から眺めているような……」 「ああ、俺も同じ! なんだったんだろうな」 「僕、今、すごく気持ちがいいんだ。満たされている。そう、心の深いところで雅樹を感じている。こんなエッチ初めてかも!」 「俺も似たような感覚。体と心の両方で満たされている。そんな感じ!」 雅樹の言う通りだ。 そう、体だけじゃない。 心もなんだ。 僕は、雅樹に飛びつき、キスをねだる。 「最高のエッチだった……ね、雅樹」 「ああ、最高だな!」 僕達はきつく抱き合うと、微笑みながら唇を合わせた。

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