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4-19-5 高校の思い出 やり残したこと

僕と雅樹はジャグジーバスに一緒に入った。 僕は、湯船の中で、雅樹の腕の中にちょこりと座った。 雅樹は、僕の髪の毛を触っていたが、そうだ、と思いついたように言った。 「なぁ、めぐむ、お風呂あがったら、あれしようよ」 「あれ?」 「そう、あれ」 雅樹のニヤニヤした微笑みで、僕はピンときた。 今日、雅樹が用意してきたカバンの中身。 僕は、想像してちょっと恥ずかしくなる。 「本当にするの? SM……」 「だって、しないと、心残りだろ?」 「まぁ、確かにね……」 「うんうん。高校生でやり残した事はすべてやっておかないと!」 以前に、受験が終わったら、あのジュンの依頼で見つけたお宝を使ってみよう。 そう雅樹と話をしていたのだ。 「でも、清潔じゃないと、僕はやだよ」 「大丈夫。ちゃんと洗ったから」 さすが、準備万端なんだ……。 でも、ちょっと期待してしまう自分がいる。 雰囲気が大事らしい。 まずアイマスクをさせられる。 完全に見えないわけじゃないけど、目に光は入らない。 不安な気持ちになる。 僕は雅樹の言われるがままに、両手をロープで縛られてしまった。 なぜだろう? 縛られていると思うだけで、変な気持ちになる。 そして、布のようなもので口を塞がれた。 「うー、うー」 声がだせない。 そのまま、椅子に座らされた。 浅く座り、ペニスとアナルが丸見え。 両足は、そのままひじ掛けの部分にロープで固定された。 腕は、縛られたまま頭の上に持ち上げられる。 「さぁ、めぐむ、これでもう動けないぞ」 雅樹は、さりげなく、僕の乳首を触る。 あっ、だめ。 「うー、うー」 そうだった。 口を塞がれているんだ。 体を動かそうとすると、ロープがギシギシとしまる。 痛い。痛いよ。 ああ、完全に椅子に拘束されているんだ。 身動きが取れない。 「めぐむ、うー、うー言って気持ちいいのかな? ちょっと待ってな。もうちょっと準備があるから」 ちがうよ。 やめてって言ったの! 「うー、うー」 「うん。そうだね、我慢してな。可愛いな、めぐむは」 雅樹は僕の耳元でささやくと、僕の頬にチュッとキスをした。 もう、雅樹は都合よく解釈しちゃって! ああ、でも。 これでは、何をされても抵抗できない。 はぁ、はぁ。 雅樹は、何をするつもり? それにしても、僕はいったいどうしてしまったのだろう。 胸のドキドキが止まらない。 緊張だけじゃない。 そう、期待。 これは、期待のドキドキ。 何かを期待してしまっているんだ。 ああ、僕はなんていやらしいんだ。 雅樹は、突然アナルを触った。 キャっ。 「うー」 体がビクっとする。 冷たい。 アナルに、ぬるっとしたものが塗られている。 ローションかなにか? そして、僕のアナルにするっと何かが入ってきた。 指じゃない。 なんだろうこの感覚? 入ってしまうと違和感がない。 ああ、これはローターだ。 きっと、去年、雅樹の誕生日に買ったやつ。 あの時は気持ちよかった……。 つい、思い出してしまう。 矢追のスイーツのお店で、雅樹の悪戯でいかされそうになって、そして、ローターを入れたまま雅樹と……。 やばい。 思い浮かべただけなのに、ペニスがすこしむくっと起き上がってくる。 はぁ、はぁ……。 だって、すごく気持ちいいんだよな。これ。 雅樹は、一通り準備が整ったのか、僕の頭に手を置いて言った。 「さぁ、めぐむ。準備はできたぞ! それにしても、いやらしい格好してるな。めぐむは」 「うー、うー」 雅樹が自分でしたんじゃないか! 「でも、すごく可愛いよ、めぐむ」 「うー、うー」 もう、すぐ褒めて誤魔化すんだから! 口がふさがれていて声にならない。 雅樹が耳たぶを舐める。 「うーっ!」 あぁ、感じる。 耳たぶは、だめだよ。感じちゃうから。 はぁ、はぁ。 「めぐむ。ペニスの先からおつゆが垂れてきてるぞ。ほら?」 雅樹は僕のペニスの先を手のひらで無造作に撫でまわす。 あっ、そんな触り方したら、どんどんでちゃうよ。 「うー、うー」 「ん? そうか、そうか。気持ちいいか。じゃあ、もう少し触ってあげるな」 だめ、だめだよ! 「うー、うー」 いやらしいおつゆが溢れてぴちゃぴちゃと音を立てる。 でも、気持ちいい。 「ああ、すごいぞ、めぐむ。俺の手がびちゃびちゃになっちゃった」 雅樹は、僕のいやらしいおつゆでぬるぬるになった手で僕の頬を触る。 そして、おつゆがついた僕の頬をペロりと舌で舐めた。 「ああ、美味しい。それにして、いらやしいな、めぐむは。もう感じているのか?」 耳元でささやく。 息がかかって、ゾクっとする。 僕は、うーうーと、そんなことはない、と答える。 「なになに、ペニスが勝手に元気になってるだけ? じゃあ、お仕置きがいるな!」 「うー、うー」 雅樹は、わざとらしくそう言うと、僕のペニスを無造作につかみ、乱暴にしごき始めた。 脚を閉じようにも、膝を固定されていて足は開いたまま。 雅樹のされるがまま、いじられ続ける。 僕は、我慢出来ずに体をよじった。 でも、抵抗空しく、逆に縛られたロープが食い込む。 うぅ……。 痛い。 ああ、僕は、雅樹の理不尽な攻めを受け入れるしかないんだ。 でも、なんでこんなに興奮するんだ。 「あれ、めぐむ気持ちいいの? おつゆがどんどんできてくるよ」 雅樹は、意地悪そうに言う。 はぁ、はぁ。 そんなの雅樹がしごくからじゃん……。 「うー、うー」 「お仕置きで気持ちよくなるなんて、めぐむは変態だな!」 はぁ、はぁ。 「じゃ、こうしたらどうなるのかな?」 雅樹は、僕のペニス握ったまま強引に下へ引っ張る。 「うー、うー」 痛い。 痛いよ。 そんなに引っ張たら僕のペニスとれちゃうよ。 あ、でも、どうしてこんなに気持ちいいんだ。 いきそう……。 僕は精いっぱい体をしならせる。 雅樹は、僕がいきそうなのを察して、ペニスから手を離す。 「あっと。まだ、だめだ。いっちゃ!」 どうして! このままいかせてよ! 雅樹の意地悪! 「うー、うー」 「ペニスはビクンビクンしているから、しばらく放置しておこうな。じゃあ、次はこっちかな」 せっかく、いく寸前だったのに……。 はぁ、はぁ。 次は何をしようっていうの? あれ? まただ。 心臓がドキドキしている。 だめだ。 僕は何を期待しているだ。 ぴちゃ、ぴちゃ。 あっ、乳首。 今度は乳首を攻めるの? 雅樹は、乳首の先をペロッと舐めたかと思うと、はむっと赤ちゃんのようにしゃぶり、ちゅぱ、ちゅぱと吸い始める。 ああ、感じるよ。雅樹。 「うー、うー」 「めぐむの乳首、固くなってきたよ。うわー。いやらしいな」 はぁ、はぁ。 雅樹は、僕の乳首から、んぱっ、っと口を離した。 乳首の先が、プルンと震える。 「さてと、この筆で乳首をいじるとどうなるかな?」 だめ! 今、乳首の先は勃起して敏感になっているんだから。 筆なんかで触られてたら……。 あっ、毛のチクチクの刺激。 体がビクンと震え、体がしなる。 ロープがギシギシと音を立てる。 チクチクの後には、さらさらっと撫でられる気持ちの良さ。 ああ、チクチクとサラサラが混ざり合った刺激。 快感が体を突き抜ける。 「うー、うー」 「どうした、めぐむ? もっとか?」 だめ! これ以上したら、おかしくなっちゃうよ。 「うー、うー」 「うん。わかった。もっとだな」 雅樹は、筆を押し付けるように、ぐりぐりと僕の乳首に刺激を与え続ける。 だめ、だめ、雅樹、やめて……。 僕は体を左右に振って逃がれようとするけど、無駄な抵抗。 「うー、うー」 今度は指でコリコリと摘ままれ、再び筆でなぶられ、舌で愛撫、そして、吸われる。 何度も、何度も繰り返されて、僕は半ば放心状態になった。 「あれ? めぐむの乳首ってこんなに大きかったかな? こころなしかおっぱいも出てきたような」 「うー、うー」 そんなことないよ! 僕の胸は、雅樹が大好きな、ぺったんこだから! 「ははは、気のせいかな? れろれろ」 あっ、あーっ……ダメ……もう、これ以上は……。 雅樹の乳首攻めが、ようやく終わった。 はぁ、はぁ、よかった……おかしくなっちゃうところだった。 雅樹は、僕の耳元でささやく。 「さて、いよいよ、こっちかな?」 何をするの?  でも、僕は知っているんだ。 はやく、して! 雅樹、お願い。 僕を気持ちよくして! もう、我慢できないんだ。 はぁ、はぁ、はぁ……。 ブルブルとお尻の中が振動し始める。 ああ、やっとだ。 ローターのスイッチが入ったんだ。 ちょうどアナルの気持ちいいところに当たっている。 えっ? でも、これは……。 いきなり強モード? 刺激で体がビクンビクンと反応する。 ああ、だめ……。 いきなり、強モードじゃ、すぐにいっちゃうから……。 下半身がどんどん熱くなり始める。 刺激は快感となって、全身をめぐる。 体は、定期的にビクン、ビクンと痙攣をする。 椅子がミシミシきしむ。 「うー、うー」 気持ちいいよ! 雅樹、助けて! 「めぐむはいやらしいな。もう、お尻でもいきそうなのか?」 雅樹は僕の耳元で言う。 雅樹の息が当たる。 「うー、うー」 僕は精いっぱいに、うん、うん、と頷く。 「じゃあ、そろそろ頑張ったご褒美をあげないとね」 ご褒美? あぁ、やっとだ。 僕は、ご褒美が欲しくてしようがないんだ。 はやく、ご褒美ちょうだい! 僕の中に入れて! お尻からローターが抜かれて、代わりに、ずずっと、太いものが挿入されていく。 ああ、雅樹のペニス君。 熱い。 切ない圧迫感。 雅樹、こんなにおっきくして、自分だってこんなに興奮しているんじゃない。 「めぐむ、とても可愛いよ」 雅樹は僕の口を塞いでいた布を取り外した。 僕の口からは唾液がだらっと垂れた。 はぁ、はぁ。 熱い息が漏れる。 でも、すぐに雅樹の唇が吸い付き塞ぐ。 そのまま舌が入ってくる。 んっ、んっ、んっ……ぷはっ。 「雅樹、はやく僕を気持ちよくしてよ……」 僕は、やっとのことで言った。 「やっぱり、めぐむはやらしいな。ははは」 雅樹は、そう言うと激しくピストン運動を始める。 そのたびにロープが手足に食い込んで痛い。 でも、今は、それすら快感……。 身動きが取れない僕を、雅樹は欲望の限り思う存分犯すんだ。 そして、僕はその雅樹の欲望をすべてひっくるめて受け止める。 それが嬉しくて嬉しくてしかたない。 だから、雅樹の欲望だけじゃない。 僕の欲望も同時に満たされていくってこと……。 ああ、愛し合っているという実感。 雅樹は、いつもより激しく僕の中に突き刺してくる。 下半身はどんどん熱くなり、爆発寸前。 ロープで引っ張られる椅子が、ギーギーと悲鳴を上げる。 快楽の階段を駆け上がっていく。 「あっ、あっ、雅樹、僕いきそう!」 「はぁ、はぁ、俺もだ。いくっ!」 雅樹は、「めぐむ!」と声をあげ、ペニスを僕の中にぐぐっと奥まで押し込むと、そのまま精子を放出した。 雅樹の絶頂を感じた。 ああ、雅樹いったんだ。 そう思ったのも束の間、僕の中で熱くなった塊のようなものが、パーンと弾けた。 僕も一緒に……雅樹。 そして、僕の頭の中は真っ白になった。 僕は椅子に縛られたまま、そして雅樹と繋がったまま、しばらくねっとりとしたキスを楽しんでいた。 ぽわっとした心地のよい感覚。 マスクがずり落ち、眩しさで目がくらむ。 目の前には雅樹の顔。 「めぐむ、可愛いよ」 「雅樹、この格好はずかしいから、早くとってよ」 「そうだね。でも、もうちょっとだけ見させて。だって、すごく可愛いんだよ」 「もう! 意地悪!」 僕は、いーっという顔をする。 ふと、ロープで縛られた所を見た。 やっぱり、ほんのりと赤くなっている。 でも、痛いのも愛があれば、気持ちいいに変わってしまう。 なんだか、不思議……。 あぁ、そっか、これがSMってことなんだよね。 僕と雅樹は、シャワーを浴びてベッドに寝ころんだ。 天井を眺める。 「どうだった? ソフトSMっていうんだと思うけど?」 「うーん」 僕はどう返答するか迷った。 雅樹が先に答える。 「俺は最高に興奮したよ。めぐむが感じている姿がたまらなかった」 僕は、そんなに感じているように見えたのか。 思い出すと恥ずかしい。 でも、そんな僕をみて雅樹はあんなにも興奮してくれたのだから、正直嬉しい。 僕は、雅樹の胸に顔をうずめながら冗談交じりに言った。 「まぁ、確かに気持ちよかった……かな」 「それだけ?」 雅樹は、疑いの目で僕を見ると、ほっぺをつんつんと突く。 「もう! 本当はとっても気持ちよかった! 新しい扉がひらいちゃったかも!」 僕がそう言うと、雅樹は、「そっか、俺もだ!」と、声を出して笑った。

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