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scene01-06 ★
「ん、んぅ……っ」
リードされるようにして少しずつキスが深まっていく。だんだんと頭の芯がぼうっとしてきて、知らず知らずのうちに吐息が零れた。
息苦しさを感じて身をよじらせると、やっとのことで解放され、率直に思ったことを口にする。
「なんか慣れてる。こーゆーことしたことあんのかよ?」
「あるわけないだろ、バカ犬」
手を取られたと思うと、大樹の厚い胸板に押し付けられた。激しい胸の鼓動を手のひらに感じて、誠は目を見開く。
「俺ばっか緊張してるのかと思った」
「そりゃあ、緊張するよ。誠は何よりも大切な存在だから」
言って、大樹はおもむろに肌を撫でてくる。首筋から鎖骨、そして胸元へと辿っていくように。
「ん……ふ、くすぐった……ん、あっ――」
小さな尖りを指先で掠めるように撫でられた途端、未知の感覚が体の奥底に生まれた気がした。
一度甘い声を漏らすと、大樹は執拗にそこを触ってくる。指先できゅっと摘ままれ、押し潰すようにこねられれば、ムズムズとした刺激がじんわりと広がっていく。
「は、ぁっ……なんか、ヘン」
「変?」
男なのにどうしてこんな所で――困惑しつつ、コクコクと頷く。
こちらの様子を伺いつつ、大樹は突起を口に含んで舌先で舐めあげてきた。
「やっ、あぁッ……」
瞬間、ゾクゾクという痺れが電気のように駆け抜けた。
転がすように舐められ、きつく吸いあげられるたび、本人の意思とは関係なく体が小刻みに震えてしまう。
「ぁ……あ、は……っ」
「誠、気持ちいい?」
「う、ぁ……わ、わかんないっ――ヘン……」
「こっちの方がいいか。腰、少し上げて」
「へ?」
大樹の手がするすると這って、腰のあたりを撫でられた。
特に何も考えず――というより、考える余裕がなく――言われるがままに腰を上げると、下着ごと一気にスウェットパンツを剥ぎ取られてしまう。
いつの間にか熱を持っていた昂ぶりが冷たい外気に触れて、ふるりと震えた。
「もうこんなになってたのか」
大樹が形を確かめるように手で包み込んでくる。あまりにも恥ずかしい光景に、誠の目が泳いだ。
「あ、あんま見んなっ」
「悪い。でも、ちゃんとよくしてやるから」
「っ……ん、んっ――」
先端から括れの部分にかけて、緩いストロークで大樹の手が動き始める。
自分で慰めるのとは感覚が違う。指の腹を使って優しく扱かれ、無意識に腰が動いた。
「ん、ぁっ……あぁっ」
「痛くない?」
「ん……へーきっ。恥ずかしいけど、すげーきもち、い……っ」
「なら、よかった」
会話を交わすうちにも、誠の昂ぶりは硬く張り詰めていく。
先端から先走りが出るようになると、それを擦り込むようにして手の動きが速められた。
「う、あっ……あ、んっ」
クチクチという濡れた感触がやけに気持ちよくて、されるがままに巧みな手腕に翻弄されていく。こんな快感、自分では味わったことがない。
「あ、ぁ……やっ、も、でちゃ、うッ……」
「いいよ、イッちまえ」
囁かれるとともに容赦なく高みへ追い立てられて、むず痒い射精感が下腹部に集中する。
誠はそのままあっけなく絶頂を迎え、白濁を散らせるのだった。
「っ、あぁ……ッ」
はあはあと肩で息をしながら、ゆっくりと四肢を弛緩させる。ぎゅっとつぶっていた目を開ければ、己の欲望のほとんどは大樹の指を汚していた。
咄嗟に謝ろうと思ったのだが、不意に脚を持ちあげられて言葉が詰まる。
続けて感じたのはヌルヌルとした生温かい感覚で、秘所に大樹の指が押し当てられていることに遅れて気づいた。さすがの誠も息を呑む。
「……ぅ、くっ」
湿った音を小さく立てて指先が押し込まれる。ひどい異物感があったが、精液でたっぷりと濡れているせいか、意外にもあっさりと奥まで入ってきた。
「んん……っ」
ゆっくり掻き回すように、窄まりを解されていく。
内壁を押されると、体内で感じる不思議な感覚に身悶えせざるを得なかった。
不快なのか快感なのか判断がつかないまま、一本、二本と指を増やされて、緩慢な動作でさらに押し広げられる。
「ぁ、はっ……あ……」
じれったくなるくらい優しい指の動きに、吐息が零れ落ちる。
自分の体なのに、今どうなっているのか少しもわからなかった。やはり“ヘン”だとしか言いようがない――と思っているうちに、指が引き抜かれた。
「大樹?」
グイッと膝を大きく割られて、足の間に大樹が腰を据えてくる。
声をかけるも返事はない。衣擦れの音がして、急くように熱い塊が宛がわれた。
「誠、力抜いてて」
狙いを定めるように数度擦りつけられるや否や、大樹の屹立が慎重に押し入ってくる。
「ひぁっ! あぁッ――!?」
先端が潜り込んできた途端、まるで体が裂かれるような鈍い痛みが走った。
指とはまったく異なる圧倒的な存在感だ。熱い異物が秘所を抉じ開けていく感覚に吐き気を催し、呼吸もままならない。
「ぅ、ぐっ……ん、んん~ッ!」
縋りつくように大樹の背へ腕を回した。
想像を絶する苦痛に耐えられず、悶絶しながら背に爪を立ててしまう。
「ごめん、誠……さすがに急ぎすぎた――痛いよな」
ハッとして大樹が頭を撫でてくる。癇癪を起してしまった子供をなだめるような手つきに、強張った体から少しだけ力が抜けていく。
「へ、へーき……もう痛くねーし」
「平気じゃないだろ」
幼稚な強がりなんて、すぐに見抜かれてしまう。
だとしても、もうあとには退けないし退きたくもない。中途半端に終わらせるのは、男らしくないと思った。
恐る恐る自ら腰を動かして、体内へ彼を迎え入れようとする。
「ぅ……くッ……」
「無理しなくていいから。もうここまでにしよう」
「ムリ、してない……体だって、頑丈だしっ」
「なにも、俺はそこまで――」
「なワケねーじゃんっ……つか、俺がイヤなんだ、っての――っ、あ……」
そうこうしているうちに、痛みの中に甘い快感が生じたのを感じた。その変化に気づいてか、大樹も動きを合わせながら慎重に自身を押し進めてくる。
少しずつ、しかし確実に二人の結合を深くしていき、じっくり時間をかけて大樹のすべてを体内に収めたのだった。
「大丈夫?」大樹が問いかけてくる。
彼の眉根は寄っていて、先ほどまでの様子からも余裕のなさを感じた。にも関わらず、こちらのことを気にかけてくれるのだから、どうしようもなくこの男のことが愛おしく思えてならない。
「ん、大丈夫……こーゆーのわかんないから好きにしてほしい」
「……わかった。嫌だったら、ちゃんと言ってくれ」
大樹がゆっくりと腰を動かし始める。それを受け止める誠は、与えられる刺激に身を小さく震わせた。
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