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scene18-03 ★
「んぅ……っ」
「嫌?」
誠の反応を見つつ問いかける。
嫌かどうか訊くのは癖の一つで、何よりも大切な彼を傷つけたくないから、つい確かめてしまうのだ。少なくとも理性があるうちは、と思っていたのに、
「嫌じゃない、けど……場所変えてほしいっつーか。なんかその、したくなっちゃいそう」
「………………」
いつも保っている理性を吹き飛ばすのに、十分な言葉が返ってきた。
(据え膳にもほどがある)
こうなると、今やるべきはたった一つだ――無言で誠の腕を引いて連れ出した。
静止の声など知ったことではない。自室に入るなり、すぐさまベッドに誠を押し倒す。
「だ、大樹?」
「こうなるってわかってただろ」
覆い被さるようにしてキスの雨を降らせる。唇で熱っぽく愛でながら、Tシャツの中に手を差し込んで、吸いつく肌の感触を楽しんだ。
すると、先ほどまで大人しかった誠が、抵抗の意思を見せてくる。
「ちょ、いくらなんでもがっつきすぎっ」
「あんな顔で誘っといて、そんなこと言うな」
「いや、だから待てって!」
「もうその言葉は聞き飽きた」
物言う口をキスで塞ごうとした。が、誠の両手が伸びてきて拒まれてしまう。
そこで彼は、思いもよらないことを口にするのだった。
「今日は俺からしてやりたい気分なんだよっ!」
「お前が?」
付き合い始めてからそれなりに経過したが、ここまで積極的なのは初めてだ。思わず自分の頬を抓りたい気分になった。
しかし、夢にしてはやたらとリアルすぎる。誠の顔に恥じらいの色が浮かび上がっていて、見ているだけで気分が高揚するのを感じた。どうやら現実らしい。
「なーにニヤついてんだよ」
感情が表に出ていたようだ。誠が頬をぷくっと膨らませて、咎めるような視線を送ってくる。
「いいよ、好きにしてくれ」
告げると、ベッドの上で楽な姿勢を取った。
誠は体を起こして、
「う、うん」
あどけなさの残った顔が近づいてくる。何をするのか期待していたら、唇を軽く重ねられた。けれど、柔らかな感触はすぐに離れていく。
見てみれば、耳まで真っ赤にさせて項垂れている姿があった。愛らしさに思わず笑みが零れる。
「それだけなら、いつもやってるだろ?」
「わわ、わかってるやいっ」
理性が薄れていくと、決まって彼は自ら求めるようになるのだが、まだそういった段階ではないらしい。
手出ししたくなる気持ちをぐっと抑えて、誘うように見つめる。少しの戸惑いのあとに再び口づけされた。
薄く口を開いてやると、温かな舌先がおずおずと侵入してきて、控えめに口腔を弄られる。舌先が接触すれば軽く吸われて、やんわりと絡ませられた。
こちらが受け身に徹している分、じれったくなるくらいの優しいキスだ。
「誠、もっと舌出せる?」
「んっ、んん……」
口づけが深まっていくのを感じながら、気づかれぬように薄く目を開けると、熱っぽい誠の顔が眼前に広がっていた。
時折漏れる息は熱く、彼がいかに興奮しているかが伝わってくる。そのような恋人を前にして平静でいられるわけがなかった。
「誠」
先を催促するかのように、名を呼びながら上体を起こした。
それで察したようで、誠は体の位置を変えて大樹の下腹部に屈み、ベルトをぎこちなく外してくる。スラックスの前を寛げて、下着の中から昂った雄を取り出した。
「もうガチガチじゃん」
誠は驚いたように呟くなり、手にしたものをつぶらな瞳でまじまじと見つめる。
「何をそんな見てるんだ」
「や、こんなデカいのが俺の中に入ってんだなって」
「……卑猥だな」
「えっ、そうなの!?」
無自覚かよ――内心でツッコミつつ、どうしてこうも駆り立てるのがうまいのだろうと苦笑する。焦らされているようで、もどかしさもあるが、初々しい一挙一動が可愛らしく思えてならない。
「お前がしてくれるみたいにすれば……いいんだよな?」
屹立をつんと指先で押しつつ、誠が問いかけてきた。
「そうだな」
「下手だったらごめん」
「正直、お前がこういったことしてくれるだけで興奮する」
「スケベ……」
といった色気のないやり取りのあと、やがて意を決したように、誠は屹立に口を寄せた。
つうっと根本から濡れた感触が這い、ちろちろと舌先で裏筋を舐められれば、くすぐったさにも似た快感が込み上げてくる。
あまりにも拙い手腕だが、彼が自身を高めようとしてくれているというだけで欲情し、じんと腰のあたりが疼いた。
「きもちいい?」
不安げに上目遣いで確認されては堪ったものではない。今にも襲いかかりたくなる衝動を必死に押し殺して答える。
「ああ、気持ちいいよ」
「ん、よかったあ」
誠は嬉しそうに微笑んで、屹立の先端を口に含んだ。
柔らかく温かな感触に包まれ、下半身が蕩けてしまうような快感が広がっていく。
たどたどしく上下に頭を動かされれば、知らずのうちに腰が浮き、自身は意志を持ってますます膨れあがった。
「んぅ……はっ、んむ……」
懸命に自分のものを頬張っている顔をよく見たくて、指先で誠の前髪を梳く。
少しだけ苦しそうにしながらも表情は恍惚としており、どうしようもなく情欲が掻き立てられた。
愛おしさに頭を撫でてやると、彼は気持ちよさそうに目を細めて、さらに屹立にしゃぶりつくのだった。
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