86 / 142

scene18-04 ★

「はぁっ……ん、ちゅっ」  先端から体液が滲めば、舌を使って舐めとられ、音を立てて吸いあげられる。  次第に手の動きが加わって、意識がぐらぐらと熱を帯びるのを感じた。  歯を食いしばって衝動に耐えるも、目の前の煽情的な光景には敵うはずもなく、欲望は高まっていくばかりだった。 「誠、その辺りでいい」  このまま欲望を吐き出してしまうのもどうかと思い、声をかけた。  ところが、誠に顔を上げる気配はなく、口淫を続けようとしている。仕方なくもう一度言葉を繰り返した。 「だからいいって」 「んんっ、は、ふ……っ」  誠は強情で、頑なに屹立から口を離そうとしない。そうしている間にも衝動がじりじりとせり上がってきて、焦りが出てくる。 「いいから離せ」 「うっ、ん……くち、んなか、いーよっ」 「バカッ、言うこと聞け!」  強引に誠の頭を引き剥がそうとした、そのときだった。  喋りながらだったせいか、誠の歯が鈴口に当たってしまい、一瞬で思考が弾けた。 「――ッ」  限界まで張り詰めた自身から、熱い白濁が噴き出す。  慌てて誠から身を離すも、思い切り顔へ浴びせかけてしまった。口内に出すよりはマシだと思ったのだが、これはこれでひどい有様だった。 「わ、悪い」  すぐにティッシュを取って拭こうとしたところ、誠に押し止められた。 「別にいいよ。あとでシャワー浴びるんだし」 「いや、気持ち悪いだろ」 「え、全然気にならないけど。とゆーか、気持ちよくなってくれて嬉しい……みたいな」  純真な笑顔を浮かべる彼の頬に、白濁がとろりと伝う。  汚したのは紛れもない己の欲望だ。その事実に胸の奥がゾクリと打ち震えた。 「……誠、こっち」  静かに口にし、華奢な体を抱き寄せて横たわる。最初にキスをしたときの体勢になった。  誠の顔を見上げながら、彼のジャージパンツに手をかけ、下着とともにグイッと下ろしてやる。  臀部を露出させたところでサイドボードに手を伸ばすのだが、今の体勢では引き出しが開けられないことに気づいた。  さりげなく体をずらそうとしていたら、誠も気づいたらしく、二人して苦笑する。 「しょーがねえなあ」 「すまん」  あまりの余裕のなさに若干の羞恥を感じつつ、ローションのボトルを出してもらう。それを受け取るとキャップを開けて、中の液体でししどに指を濡らした。 「少し強引にするけど許せ」  告げるなり、きつく閉じた蕾に指を捻じ込む。クチクチと掻き回して、快感を与えるというよりは、無理矢理に内壁を押し広げていく。 「っ、ん……は、ぁ」 「辛いか?」 「ううん、きもちい……もっと、ほしいっ」 「だから煽るなって」  潤滑油を足しながら指を増やし、何度も抜き差しをする。 「あっ、あ……ああっ」  中でばらばらに動かしてやれば、ヒクヒクと物欲しげに粘膜が蠢き、三本目の指も抵抗なく呑み込んでいった。 (……困った。本当に余裕がない)  如何せん逸る気持ちを抑えきれない。早く彼と一つになりたいという情欲に、身も心も支配されていた。 「大樹」  名を呼ばれて視線を交わす。言葉にせずとも「もういいよ」と言っているのがわかった。  体内から指を引き抜いてやると、誠が下半身に跨ってくる。その後、合わせるように互いに服を脱いで、 「じゃ、挿れるから……大樹はじっとしてて」  自身が誠の窄まりに宛がわれる。角度が定まったところで、彼はゆっくりと腰を落としていった。 「っ……ん、んっ」  先端が柔らかい粘膜に迎え入れられる感覚が堪らない。熱くねっとりとしていて、繋がった部分からドロドロに溶けてしまいそうだ。 「誠」  すぐにでも動きたい欲を抑えながら、細い腰を支えてやる。  少しずつ、だが確実に二人の繋がりは深くなっていき、己の分身はじっくり時間をかけて誠の中に収まったのだった。 「すげぇ、全部はいったあ……」 「大丈夫か?」 「ん、ちょっとだけこのまま」  誠は熱っぽい声で言って、体を横たえる。荒い呼吸を繰り返す背中を撫でてやると、小さな笑い声が聞こえた。 「なんか初めてしたときみたい」誠がぽつりと呟く。「あのとき、自分だって余裕ないだろうに、すげー優しくしてくれてさ」  初めて体を重ねたのは二年以上前になるが、大樹も昨日のことのようにはっきりと覚えていた。  ふっと面映ゆい気持ちが込み上げてきて、眉尻を下げながら口を開く。 「緊張でどうにかなりそうだった」 「ははっ、あの頃と比べたら余裕出てきた?」 「慣れは出てきたけど、余裕なんて大してないよ」 「どれどれ……あ、ホントだ。相変わらず心臓の音ヤバい」  身をよじらせて、誠が胸元に耳を当ててくる。  きっと早鐘のような胸の鼓動が聞こえていることだろう。いくら平静を装ったって、さすがに隠し切れない。 「誰よりも好きなヤツ抱いてるんだ。平常心でいられるワケないだろ」  正直に打ち明けたら、きゅっと誠の蕾が収縮して自身が締めつけられた。 「キツくなった」 「言うなよ! 大樹のばーかっ!」  真っ赤になって狼狽える姿が可愛らしくて、自然と笑みが零れる。当然、誠はむくれた。 「わーらーうーなーっ!」 「嫌か?」 「好きだけどさ」 「は?」 「大樹が前よりも笑うようになってくれて――嬉しいよ、俺」 「………………」  誠の“ど”がつくほどのストレートな言葉に、嬉しいやら恥ずかしいやらで言葉が出てこない。唯一、口にできたのは、 「バカ犬」 「なんで! 今、『バカ』って言われる要素あった!?」 「知らねーよ」 「ええ~」 (こういったことには相変わらず鈍感だな……少しは察しろ)  誠はわけもわからず首を捻っていた。かと思えば、思い出したように上体を起こす。 「つい話し込んじゃったけど、そろそろいいよな?」

ともだちにシェアしよう!