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逃走①

部下である狐の獣人に呼び出されたノイルは、ケイの処遇についてどうするのかと話していた。 なんせ異世界語を話し、服装や持ち物も奇妙な故に研究者の興味の対象だ。 国の研究機関であるロジェット研究所の者達は興味の為ならば人権も厭わないような連中ばかりだ。 そんな奴等にケイを知られるわけにはいかない。 「あの者は私が預かる。 呉々も他言無用で頼むぞ」 それにあの子は……… 話を終えたノイルはすぐさまケイの元に戻る。 そう言えばそろそろ腹が減るだろうと診療所の厨房に食事を頼んでから部屋に戻ってきた。 「ケイ、今食事を……… ケイ……?」 先程までベッドに寝ていたケイの姿は何処にもなかった。 「ケイ!!」 ノイルは慌てて外に出て、ケイの臭いを辿って行方を捜そうと試みる。 だが、その時だった。 空からポツリと滴が落ちてきた。 雨だ。 それを皮切りに土砂降りの雨が降ってきて、ケイの臭いを消してしまったのだ。 「クソッ、なんでこんな時に!!」 どうやって捜そうか? あまり大事(おおごと)にしてケイの存在を広めてしまうと厄介だ。 それでも彼の身を考えると早々に見つけるべきだと判断したノイルは先程の狐の部下にケイを捜すよう指示した。 しかし一体何処に行ったのか…… 兎に角早く捜すしかないとノイルはジルラーティスに乗り空から捜す事にした。

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