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すれ違い⑤
一方、研究所から追い出されたノイルは未だに玄関の前に居座っていた。
ケイを何としてでも取り返すためだ。
だが研究所の守りは固い。
どう取り戻すのか考えを巡らせているとパリンとガラスが割れるような音がして、そちらに向かうと木の上から黒い何かがノイルの頭上を飛び越えて走り去って行った。
「な、なんだ………」
するとふっと香ってきたケイの匂いに心臓が跳ねた。
「逃げたぞ!!」
「早く追え!!」
直後に研究所から怒声や慌てふためく声が聞こえてくる。
そして研究所からキークが走ってやって来る。
「クソッ、あの小僧何処に行った!?」
「キーク所長……?」
「……っ!?
ノイル殿、まだいらしていたんですか……」
ノイルが声を掛けるとキークは目を丸くするが、すぐにばつが悪そうに目線を反らした。
「所長、この騒ぎは一体何です?
先程黒い生物を見ました。
しかもケイ、私がお聞きした青年の匂いがしたのですが、どう言う事ですか?
きっちり説明してください!!」
「………分かった話す。
話すから、早く彼を探し出せ。
でないとあれを見た者に始末されてしまうかもしれぬ」
観念したのかキークはあれがケイ本人であることを告白し、誰かに殺されるか、奪われるかするより前に彼を保護しろと命じた。
「軍を使え。
上には私が説明する。
いいな、一切傷を付けてはいかんぞ!!
貴重なサンプルだ」
「当然だ。
ケイを誰かに傷つけさせてなるものか」
ノイルは直ぐ様部下へケイを探すよう指示を出す。
「ケイ、どうか無事でいてくれ……」――
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