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白銀の……②

妙な成りをした青年が男の足元に倒れている。 「おい、大丈夫か?」 体を軽く叩いてみるが全く反応がない。 死んでしまったかと首に手を当て脈を確かめるとちゃんと生きてはいる。 ここに置いていく訳にはいかないので男は彼を抱き抱え森の麓まで歩いていった。 自身の泊まる宿泊先へ連れていきベッドへ寝かせた。 整った顔立ちの青年の頬をそっと撫でる。 どうやら熱があるようで身体が熱い。 取り敢えずこのまま様子を見る事にした。 暫くして目を覚ましたケイは状況が分からないが、それよりも身体の怠さを感じる。 起き上がる事すらキツいので首だけを動かして辺りを見渡すと一人の人物が目に留まる。 ケイが見ている事に気づいたその人物がこちらへと近付いて来て漸くその姿がはっきりする。 少しうねった白銀の髪は胸辺りまで伸び、青い瞳と男らしい顔つきのとても美しい男性だ。 一言で言うと眉目秀麗。 そしてもう一つ特徴的な事、それは彼も同じギャペラで白と黒の模様の耳や尻尾、目元と、その姿はホワイトタイガーの様に見える。 「******」 声を掛けて来るが当然分からないので黙っていると顔をグッと近づけて来て思わず驚いて声を上げてしまった。 「うわっ、な、なんだよ!!」 ケイが声を発すると彼は訝しげな様子を見せる。 そりゃあそうだろう。 聞いたことのない言葉だろうから。 彼は何を思ったのか、そのまま暫くその体勢でケイを見つめていた。

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