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未知①

奏多が遠くへ消え行くのを追い掛けるが追い付かない。 「奏多!!」 大声で彼の名を叫ぶと同時に夢から引きずり出され目を覚ます。 心臓がバクバクと脈打ち、呼吸が荒く、汗もかいている。 ケイは落ち着く為に深呼吸をした。 何故今頃奏多を思い出すのか…… きっと白虎の男に襲われかけたからだろうと考えた。 では何故白虎の男に襲われる事と奏多が関係あるのか……… 考えてもどうしても分からない為、これ以上は無意味と考えることを止めた。 それから一日体を休めた。 白虎の男も襲ってくることもなく、たまに何処かへ出掛けているようだった。 翌日の今朝は熱も下がり体調も元に戻った。 それと同時に考えなければならない問題が目の前にある。 これからどうするかだ。 研究所から追われる身である為早く遠くに逃げなければならないが、迂闊に外をうろついて見つかってはいけない。 考えあぐねていると白虎の彼がケイの前に現れ、徐にケイの額に手を当ててきた。 一瞬ビクッと体が強張ったが熱が無いか確認しているのかと理解する。 だがケイを見つめる彼の目は熱いように感じるのだが気のせいだろうか? すると彼は少し考えるように目線を斜め上に向け、またすぐにケイに戻すと彼は自分に人差し指を向ける。 「シルヴァ」 「え?」 「シ・ル・ヴァ」 「シルヴァ……? あ、名前か?」 彼はどうやら自分の名前を伝えたかったようだ。 なのでケイも自分を指差して名前を名乗った。 「ケイ……?」 彼、シルヴァがケイの名を理解してくれたようで、言葉が少し通じた感じがして嬉しかった。

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