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第5話

【3年前】 「強情だなあ、圭太は。でも大丈夫だよ、俺には全部分かってる」  美しいとしか形容のしようがない容貌。  知れば誰もが羨むであろう恵まれたその出自。 「知ってるよ。圭太はこうされるのが好きなんだよね」 「ふっ、うっ……ううっ」  だけど、圭太の前で微笑む男は、人間として大事な感情が欠けている。そして、それを彼が理解出来る日はきっと永遠にやってこない。  ベッドの上で抱かれるのはどれくらい振りだろうか?  そうは言っても圭太にとっては全く嬉しい事じゃない。  騎上位(きじょうい)を強いられた圭太は膝を付く事を許されないまま、非常に長く感じる時間、和斗のペニスを受け入れていた。  足首と太腿(ふともも)とを拘束用のテープでぐるぐる巻きにされては膝を伸ばす事は出来ず、倒れてしまえば楽になれるが、両手はしっかり天井から吊られた鎖に繋がれていて、身動きすらまともに取れずに苦悶に身体を震わせている。 「ほら、ちゃんと動かないと、いつまで経ってもイケないよ」 「ん、ゔぅっ!」  首輪に繋がる鎖を引かれて前のめりに身体が傾き、胎内にある彼のペニスが敏感な箇所を抉ったため、圭太の身体がビクビクと跳ねて白濁が彼の腹を汚した。 「あーあ。ダメだって言ったのに」  起き上った和斗がそれを指の腹で掬い取り、射精の余韻で虚ろ揺れる圭太の瞳の前へ差し出す。 「舐めて、綺麗に出来るよね」 「んっ、くうっ」  同時に口枷が外されたから、ハアハアと荒く息をしながらも、圭太は薄く開いた口から舌を差し出し素直に全てを舐め取った。 「嬉しい?」 「……れしい…です」  何度も教え込まれた言葉を何とか口から絞り出す。そうしなければ首輪に仕込まれたスイッチを入れられてしまう。  声を出すと身体を電気が流れる仕組みになっているそれは、圭太にとって最も過酷な責め苦の一つになっていた。

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