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第10話

 そうすればすぐに彼が自分に擦り寄ってくると思っていたのだ。 「見てるだけで、良かったの?」 「うっ、くぅっ……あっ、あぁ!」  ペニスの根元を握り込んでからアナルに指を突っ込むと、先程自分が注いだ残滓(ざんし)がグチュリと卑猥な音を立てる。 「変態」 「やっ! ああッ……んぅ」  前立腺を叩くように何度も刺激してやると、開いた彼の潤んだ瞳に胸が大きく音を立てた。 「この……瞳だ」  いつも視線を感じていた。  いつの間にかそれが快感になってしまうほど長い期間……ずっと自分を見ていたのに、圭太は未だそれを認めず和斗の心をかき乱す。 「分かってる。圭太が俺を好きなのは……だけど、あんまり強情だから、つい苛めちゃうんだ」 「あっ……やぁっ!」   苛めなんていう可愛いレベルの話ではなく、紛れもなく拷問だと圭太は思うが、言ったところで聞いてはくれないし、更に行為が長引くだけだ。 ――どうしたら。  和斗は圭太が男同士や家柄等を気にして素直になれないのだと思い込んでる。  更に、和斗の中での圭太はまるで、ストーカーみたいに彼に付き(まと)い、いつも見ていたとされている。  初めて出来た友達は、見た目だけじゃなく性格も良くて何でも話し合えるような……そんな存在と思っていた。  親友と呼べる存在に、それまでの人生からは、思いも()らないくらい自分は幸せだと思っていた。  男しか愛せないのだと彼から告白された時、それまで連れ歩いていた女性は何だったのだろうかと疑問に思ったけれど、浮世離れしたところのある和斗なりの価値観があるのだろうと言葉を飲んだ。  むしろ、そんな話をされるくらい、信頼してもらえたことが心の底から嬉しかった。 「挿れて欲しい?」 「……だ、やめっ……」 ――俺は、女じゃないっ。 「欲しいってヒクついてるよ」 「んっ……んぐぅ!」  指が一気に三本増やされ圭太の身体が弓なりに反る。 「ここも欲しいの?」 「あっ……ああっ」  差し出すような形になった乳首に犬歯を立てられて……刺激に射精しそうになるが、根元を戒める指に阻止され、先走りで(ぬめ)る尿道口がヒクリヒクリと空しく開閉するだけだった。

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