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「これで俺と君の契約は成立した。よろしく頼む」 「よろしく御願いします……!」 正直、今まで受けたバイトの面接以上に緊張した。 まだ不安はあるが、一生懸命頑張ろうと思う。 「早速だが、今日から君には俺の家に住んでもらいたい。すまないが、今から必要な荷物をまとめて欲しい。一時間後には出発予定だ。当然、退去に掛かる費用は全て負担するため心配しないでいい」 「い、今からですか……?」 まさか昨日の今日で早急に求められるとは思っていなくて、荷物は纏めていなかった。 「君には悪いが、契約が成立した今、一日たりともここに君を一人にしたくない。不安で君の傍を離れられない」 真っ直ぐに見つめられ、真剣な顔で告げられた言葉に狼狽える。 郁也さんの言いたいことは俺も自覚がないわけではないのでなんとなくわからないわけではない。 だが、ここ五カ月の間は酷かった雨漏りや隙間風の修繕工事などが行われたりして、前よりもずっと住みやすくなった方だ。 ……今思えば、どうして取り壊すのにそんなことをする必要があったのかは少し疑問だが。 きっと人の良い大家さんの最後の気遣いのつもりだったのだろう。

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