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「どうかしたか?」
気がつけば、じっと郁也さんを見つめてしまっていたらしい。
郁也さんの声にはっとなり、慌てて首を振る。
「俺の家に行こう」
「……!」
頷こうとした瞬間、手を取られて繋がれる。大きな手に包み込まれ、温かな感触に鼓動が跳ねる。
そのまま郁也さんは何事もないように歩き出す。
「あの……!」
「すまない、歩くのが早かったか?」
そういう問題じゃないです……!
だが、咄嗟に俺が言葉を詰まらせれば、その間に郁也さんの足は緩む。
益々言葉に詰まって、視線を彷徨わせてしまう。
「あ、ありがとうございます……」
咄嗟に出てきたのはその言葉で、微笑む郁也さんに俺は諦めてしまった。
正直なんだか意識してしまって恥ずかしさはあるが、郁也さんの親切を無下にするわけにもいかない。
……でも、温かいな。
俺よりも大きくて、しっかりしてて……恥ずかしさはあるのに、でもなんだか安心してしまう。
繋いだ手から郁也さんの熱が伝わって、じんわりと身体が熱くなる。
慣れない人の熱に浮かされたのかぼんやりと歩いていれば、それほど離れていない場所に停められていた見るからに高級車の前に着く。
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