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傷一つ見えない、陽光を浴びて輝く高級感溢れる車に驚いていれば、郁也さんが助手席の扉を開けてくれる。
「あ、ありがとうございます……」
想像もしていなかった立派な車に萎縮しながら、頭を下げて慎重に車に乗り込む。
落ち着いた車内は全く使われていないんじゃないかってぐらい清潔に保たれていて、不要なものが一切ない。
高質な革製の座席に腰を下ろせば、硬質な見た目よりも柔らかく沈み込む感触に驚いてしまった。
俺、本当に乗ってもいいのかな。
慣れない空間にすごく落ち着かない。汚してしまわないかとドキドキしていれば、運転席の扉が開いて郁也さんが乗り込む。
「俺の家まで少し掛かる。到着するまで好きに寛いでくれ」
「ありがとうございます……」
すみません。寛ぐのは心情的に難しいです。
郁也さんと同じ爽やかな匂いが僅かにする車内は走る音だけが聞こえていて、とても落ち着かない。
とても沈黙したままでは辛くて、どうにかしようと脳裏に浮かんだ考えに、躊躇った末、意を決する。
「あ、あの……お仕事のことなんですが」
「疑問点があるなら聞いてくれて構わない」
正直叶うならば避けたい話題の為に言いにくそうにしていれば、郁也さんがすかさず気を遣ってくれる。
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