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「家に到着してからのことだが、不備がないか確認して欲しい。何かあればすぐに言ってくれ」 「はい、わかりました」 「夜には何処か食事に行こう。君は何か好きなものはあるか?」 「俺はなんでも好きです。あの、郁也さんが良ければ俺作りますが……」 郁也さんの気遣いは嬉しいけど、食事に行くのは申し訳ない。 それに、今後は俺が料理を作るのだから今日からでも変わらない。 郁也さんの口に合う物が作れるか自信がないから緊張は物凄くしているが。 「ありがとう。君の申し出は嬉しいが、今日は止めておこう。君も疲れているだろう」 「俺は全然」 「いや、今日は急に連れ出してしまったからな。休んでほしい」 「……すみません、ありがとうございます」 申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、これ以上頑なに拒否しても郁也さんの気遣いを無下にするだけだ。 だから、今後の仕事で精一杯応えていこう。 ――――― 流れる車窓の景色を見つめている時だった。見るからに高級そうな高層マンションが見えて、凄いなと感心する。 すると、眺めていたら不意にそのマンションにどんどん近づいて行っていることに気づいた。 まさかと思った時には車が地下の駐車場に入って行く。 「あ、あの……もしかしてここでしょうか?」 「ああ、到着だ。今から車を停める。すまないがあと少し待っていてくれ」 いや、郁也さんを見た時から住んでいるのは高級住宅だろうなと思っていたけど、想像よりも立派過ぎて言葉が出てこない。 まさか生きている間にこんな高級な場所に住めるとは夢にも思わなかった。 車が停車し、郁也さんが降りる。遅れて俺もシートベルトを外して降りようとすれば、先に郁也さんが扉を開けてくれる。

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