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しばらくして到着したフレンチレストラン、パラディは敷居が高そうな、品のある雰囲気の外観をしていて、郁也さんの前なのにまたお財布の中身を確認しそうになった。
広々とした駐車場に停まっている車も、詳しくない俺でも分かるぐらい立派な車ばかりで、不安は膨らむばかりだ。
足を竦ませていたら、郁也さんを勘違いさせてしまったらしい。
「やはり気に入らなかっただろうか?もしそうなら他の店に行こう」
「ここで大丈夫です!素敵なお店なので、圧倒されていただけですから!!」
首をブンブン激しく横に振って、慌てて否定する。ここ以外であろうと、井坂さんが連れて行ってくれるお店は俺にとって変わりないに違いない。
「密、俺は君との時間は大切にしたいと思っている。密の希望は全てかなえたい。それが密にとって些細なことでもなんでも言ってほしい」
不意に、真剣な顔で告げられた言葉に胸が熱くなる。思わず嬉しさに言葉が詰まった。
郁也さんは優しすぎる。俺との時間をそんな風に思ってくれる人なんて、郁也さん以外にいないだろう。
「ありがとうございます郁也さん。俺も郁也さんとの時間を大切にしたいです。郁也さんの選んでくれたお店なら、俺は嬉しいです」
「密......」
言いながら恥ずかしくて顔が熱くなってしまう。まるで告白のような気分に、たどたどしくなってしまったが、精一杯俺の思いも伝えられたと思う。
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