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俺が過呼吸になっていたのは偶然だったにも関わらず、郁也さんの対応は適切で感謝しかない。経験上、テレビ同様飴玉が俺を落ち着かせる為だという事も理解していた。 「迎えに来てくれてありがとうございます郁也さん。本当に、助かりました」 もし郁也さんが来てくれなかったら症状は悪化していただろう。今日のように酷い天気では他の通行人による助けは期待できなかった。 スケジュールの交換を提案してくれて郁也さんに伝えていてくれた田村さんにも感謝しなければいけない。 「すまない密。仕事に集中するあまり君の事を疎かにしてしまった。苦しんでいる密を見つけた瞬間、心の底から後悔した」 「そんな……郁也さんのおかげで本当に助かりました。あの、今日は一緒に帰れるんでしょうか……?」 期待に胸が膨らむ。奥宮さんの助言を思い出し、確認するだけなら我儘にはならないと思って恐る恐る尋ねてみた。 一人は慣れている筈なのに心が弱っているのか、否定されるかもしれないと思うと少し怖い。 一緒にいてほしい。思わずそんな我儘までも言い出しそうになって、流石に慌てて言葉を呑み込んだ。家政婦でしかない俺が、多大な恩を受けている郁也さんを困らせていい筈がないのは十分に理解しているのに。 「そのつもりだ。今まで密を一人にしてしまったが、今日からは可能な限り在宅し、密の傍にいる。雇用主の俺がいては密が寛げる時間がないという判断もあったんだが、すまない。俺は君の傍にいたい」 最近の俺の一番の悩みだった事に、まさかそんな配慮があったとは思ってもいなくて、気が付かなかった申し訳なさと、それ以上の感激のあまり咄嗟に言葉が出てこない。 加えて、郁也さんの多忙さを考えれば難しいだろうが、これから一緒に過ごせる時間も出来るのかと思うと嬉しかった。 気が付かない内に、郁也さんの存在が大きくなっている事を自覚して顔が熱くなる。 「俺は郁也さんと一緒にいれると嬉しいです。できれば一緒にご飯を食べたり、一緒に寛げたらもっと嬉しいです。勿論、郁也さんのお仕事の邪魔をする気はありません」 我儘かもしれないと躊躇いはあったが、郁也さんの言葉に勇気が込み上げた。自分の想いを素直に告げる。

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