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僕の席は1番後ろの端っこだから、窓からいつも河木 くんを眺める。
河木くんと言うのは先程女子から夏喜くんと呼ばれていたクラスの人気者だ。
僕の隣には誰も座っておらず机と椅子だけが置かれている。入学当初から誰も見たことがなく、今では誰も気にしていない。
ペア活動もなくクラスで目立たずに過ごせるこの席は僕にとって、理想の席だ。
「はよ〜…」
その声にまたドキンっとする
さっきまで外にいた河木くんが教室に入ると、その周りには一気に人だかりが出来た。
「お前、厚着すぎじゃね!?」
「…だってさみーもん」
「夏喜くん、雪だるまみたーい」
「なんだそれ(笑)」
河木くんは席に着くとマフラーを外しながら次々と飛んでくる質問に笑顔で答えていく。
…顔が赤くなってる、よっぽど寒かったのかな?
…笑顔、キラキラしてるなぁ
いつの間にか僕以外のクラス全員が河木くんの周りに集まっていた。
キラキラ輝く君を僕は後ろから見つめる。
「俺、冬嫌い……すっげぇ寒いもん!」
「私も私も!早く夏になれ〜って感じ!!」
皆、河木くんに同感する。
…冬、好きなんだけどなぁ。
こんなとこまで君と合わない事実に軽く落ち込む。
…落ち込んだって仕方ないのに。
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