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第2章 unreachable sunflower ~高嶺の向日葵~
今年の春、僕はここ東雲 学園に入学した。
本当に憂鬱だった。
自ら希望して入った東雲学園だけど、ここは自他ともに認めるキラキラ学園、虐められたりはしないだろうが、浮いてしまうのは百も承知。
別に傷つきはしない、こんな地味な男子と関わる方が可笑しいだろうと自分でも思う。
……何が僕を憂鬱にさせているのか
それは間違えなくこの入学シーズン、
今この時期だ。
初めての出会い、初めての環境の中で誰かしらからは話しかけられるだろう、ましてや東雲学園に入学するような生徒だ…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
教室の窓から外を覗かせる
『おーい!冬麻 !!』
『冬麻くん!!』
かつての友人がグラウンドから大きく手を振る
【なんだよ(笑)!】
僕―― 俺 はそれに対して笑顔で返す
コンコン……ガラッ
教室の扉が開いた音に俺はくるっと振り向き、
ニコッと微笑んだ…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
……ハッとする
(…もう過去のことだ)
未だにある消え切れてない思い出に嫌気がさす。
しばらく思い出してなかった思い出を消すように、僕は新しく買った分厚い眼鏡をクイッと上げた。
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