3 / 437

第2章 unreachable sunflower ~高嶺の向日葵~

今年の春、僕はここ東雲(しののめ)学園に入学した。 本当に憂鬱だった。 自ら希望して入った東雲学園だけど、ここは自他ともに認めるキラキラ学園、虐められたりはしないだろうが、浮いてしまうのは百も承知。 別に傷つきはしない、こんな地味な男子と関わる方が可笑しいだろうと自分でも思う。 ……何が僕を憂鬱にさせているのか それは間違えなくこの入学シーズン、 今この時期だ。 初めての出会い、初めての環境の中で誰かしらからは話しかけられるだろう、ましてや東雲学園に入学するような生徒だ… ┈┈┈┈┈┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 教室の窓から外を覗かせる 『おーい!冬麻(とうま)!!』 『冬麻くん!!』 かつての友人がグラウンドから大きく手を振る 【なんだよ(笑)!】 僕―― はそれに対して笑顔で返す コンコン……ガラッ 教室の扉が開いた音に俺はくるっと振り向き、 ニコッと微笑んだ… ┈┈┈┈┈┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ……ハッとする (…もう過去のことだ) 未だにある消え切れてない思い出に嫌気がさす。 しばらく思い出してなかった思い出を消すように、僕は新しく買った分厚い眼鏡をクイッと上げた。

ともだちにシェアしよう!