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「うーん…なんか疲れたから寝て来るね」 先程の冷たい表情が嘘かのようにパッと笑顔に戻る風隼さん。 「じゃあバイバイ、冬麻くんと夏喜王子♡」 最後にニコッと微笑むと廊下をスタスタと歩いていった。 全員がただぼーっと風隼さんの去っていった方を見つめている。 いつの間にか女の人達は消えていた。 「……あっ、やば!!皆、時間やばいよ!」 隣にいた河木くんが授業の存在を皆に伝える。 すると、全員が目を冷めたかのように慌てだし、 「やばいやばい!」「先生に怒られる!」 と走り出した。 時計を見ると、もう授業開始時間。 僕も慌てて走り出すが、走りが遅く、次々と追い抜かされていく。 (………やばい、本当に置いてかれる…) そう思った瞬間だった。 ギュッ 「…っ!?」 「…ごめん、ちょっと我慢して」 河木くんに手をとられ引っ張られる。 頭が今の状況に追いつかない… 今、僕は河木くんと手を繋いでる? 一緒に走っている? パンクしそうな頭を押さえ込み、とにかく今は河木くんのペースに間に合うよう、必死に足を動かした。

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