50 / 437
┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
(……うわぁぁぁ)
やばい…また、泣きそうだ。
心を落ち着かせ、涙が出そうなのを抑える。
「……な、なんで…」
風隼さんがチラリとこちらを向く。
「な……なんで、こんなにも良くしてくれるんですか?」
分からない、風隼さんも河木くんも優しすぎる。
こんな、ダサくて、うじうじしていて、面倒臭い奴のことなんか放っておいたらいいのに…
(風隼さんなんか……特にだ…)
一匹狼で、好きな人にしか懐かない…話したい人にしか話さないで有名な風隼さんが……
(僕に構うなんてやっぱり可笑しい…)
「なんでって……理由は簡単だよ?」
風隼さんは近くの机にヒョイっと乗ると、こっちに来るよう手招きをする。
慌てて僕が風隼さんの方へ向かうと
僕の顎をクイッと持ち上げた。
「冬麻くんは俺のお気に入りだから♡」
僕の顔は今、真っ赤だろう。
その姿を見て、意地悪く笑う風隼さんは、
やっぱり小悪魔
……いや、悪魔…なのかもしれない。
「あっ、そう言えば…冬麻くんにいいこと教えてあげるね」
帰るためにコートを着用し、マフラーを首に巻く途中の僕に風隼さんは声をかける。
「な、なんですか?」
僕が聞き返すと、風隼さんはまた、意地悪そうな笑みを浮かべて
「夏喜って、バイなんだよ?」
「え………えええええええ!?!?」
最後に大きな爆弾を落としていった。
この後、教室から風隼さんの大爆笑が聞こえたというのは……ホントの話。
ともだちにシェアしよう!