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(冬麻side)
僕は今、サッカー部の部室の前にいる。
「……冬麻くん?」
正確には入れないでいる…が、正しいのかもしれない…。
「…か、風隼さん…やっぱり……か、帰ります!」
「はぁ?ちょ、ちょっと待ってって!!」
どう考えても、サッカー部の部室にお邪魔するなんて無理だ!
中学の僕なら、躊躇わずに入れただろうが…今の僕がサッカー部員の所に入り込むなんて……
いくら、入部を断るためだとしても、状況がおかしすぎる!!第一、ウェルカムなのは河木くんだけで、他の部員からは嫌な目で見られるに決まってる……
たぶん、河木くんは僕を誘ったこと、誰にも言ってないだろうから…
走り出した僕の後ろから、風隼さんの引き止める声が聞こえてくる。
逃げ足だけは速い僕は「ごめんなさい」と心の中で謝りながらも無我夢中で走った………
の、だが……
ドンッ
「イテッ、だ大丈夫!?!?」
前を歩いていた人にぶつかってしまった…
「ご、ごめんなさい!!!」
「ぜんぜん!俺は大丈夫!!」
目の前のぶつかった男の人が立ち上がると、転んだ僕に手を差し伸べてくれる。
(うわぁぁぁ……めっちゃ背高い……)
「あれ?君って……「ひろくん!!捕まえて!!」
後ろからの声に僕は肩をビクッとさせる。
「れ、れんれん!?は、はい!!」
「え…?」
遠くから聞こえる風隼さんの声に戸惑いながらも男の人は僕の腕を握った。
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