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突然腕を掴まれ、驚きと逃げなきゃという思いが僕を焦らす。
手を離してもらうよう腕を振るが力が強くて解けない…というか、初対面の人に対して強く振れない……
風隼さんとの距離もあっという間に近くなり、目の前まで来ると風隼さんは「はぁ」と一つため息をついた。
「……全く…なんで逃げんの?」
「な、なんでと……言われましても……」
「え??なになに??どゆこと??」
「ひろくんには、関係ない」
「えぇぇ!なんでよ!!れんれん!!」
僕の腕をしっかりキープしながら、目の前で高身長の男の人が風隼さんと言い合いを始める。
「いつもれんれんは俺になんも言ってくんないじゃん!!今日だって見に来てくんなかったし…」
「なんで、俺がひろくんに何でもかんでも言わなきゃなんないの?それに、来ないのは今日だけじゃないからいいでしょ??」
「ちょっと!最後のセリフ!!俺が言おうと思ってたやつ!!」
「え?何言ってんの?やっぱバカ?」
「そうじゃなくて!!!いつも約束破りすぎだってこと!!」
冷静な風隼さんに対して男の人は顔を真っ赤にさせて怒っている。
「あーもう、うるさいなぁ鼓膜破れるでしょ」
「う、うるさくなーーい!!!」
二人の言い合いは収まるどころか益々ヒートアップしていく。
あぁ、これは長くなりそうだ…
僕がそう確信しかけた時だった。
「おい、お前ら」
突然の声に振り返る。
そこには呆れ顔な河木くんが立っていた。
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