｢……マネージャーが、いないん…ですか？｣ 嫌な予感が何となく的中したっぽい… ｢あぁ…マネージャー志願の女子生徒は多いんだが、何目当てかは……分かるだろう？｣ 僕は困り果てた顔をしている加藤先生に首を縦に振る。 きっと、サッカー部員と近づきたいとか…付き合いたいとか、そういう目当てだろう… ｢まぁ、今年は夏喜もひろくんも入ったから、余計だろうね｣ 風隼さんはそう言うと｢めんど…｣と小さく呟いた。 ｢別に受け入れてもいいんだろうけど、全員がそれ目当てだと仕事にならないだろうから。それに、やる気なくやられたら怒鳴り散らしてしまいそうでね…｣ …以外だった。加藤先生はどんな人にでもなんだかんだ優しくて本気で怒るような先生だとは思わなかった。 ｢けど、やっぱりマネージャーがいないというのは大変なことだらけで……だから、羽野くん…本当にありがとう！！｣ そう言うと加藤先生は僕の手をギュッと握る。 本当に不思議だ。最近出会う人や関わりをもった人は皆温かい… 手を触られても拒絶反応が起こらない… (やっぱり、嫌な予感は違ったのかも…) こんなにも頼ってくれる人がいて、僕にも出来ることがある。 僕はそれに答えてみたいと思った。