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「…やっぱ、帰っちゃ……だめですか?」 「ぜーったいだめ!」 今日は僕がマネージャーとして働く初日だ。 …つまり、サッカー部員と初めて顔を合わせる。 (…憂鬱だ) 前のようなことがないよう、今日は風隼さんに腕をしっかり掴まれながら部室の前までやってきた。 (………怖い) 恐怖に体が震えてしまう。 「大丈夫だから」 「…え?」 震える体を風隼さんが優しくさすってくれる。 ニコッと笑ったその笑顔に体の震えが収まった。 ガチャ 小さく息を吐くと僕は意をけして扉を開けた。 ……サッカー部員からの視線が突き刺さる。 全員が唖然とした表情だった。 …河木くんは、今日はいない。 たしか、次の試合のために他校へ行くと河木くんが言っていた。 「今日からマネージャーとして働いてもらう、羽野冬麻だ。初めは分からないことだらけだろうから、お前ら色々と教えてやれよ」 加藤先生は前に立つと部員全員に聞こえるよう大きな声でそう言う。 その発言に部員全員がザワついた。 「は?マジでいってんの?」「いやいや、意味わかんねぇし」「どうせ夏喜の気まぐれだろ…」「あいつ早く目覚ませよ…こっちまで話持ち込むなっつぅ話…」「かわいい女の子がいい!!」 (……最悪だ) 分かってはいたがあまりの言われように少しだけ胸が痛む… 「自分の立場分かれよって話だよな(笑)」 ――立場 忘れてた、河木くんや風隼さん、ひろさんと一緒にいるうちに元の自分に少しだけ…戻った気になっていた。 本当は、こんな人達と一緒にいたらダメなのに… (……断ろう、やっぱりマネージャーなんて無理だ) 「あの……」 今にも爆発しそうな加藤先生にやめることを伝えよう、そう思った時だった。 「……うざ」 「……え?」 ガンッ 「っ!?」 風隼さんが近くにあった机を思いっきし蹴る。 それには盛り上がっていたサッカー部員も一瞬で黙りこんだ。

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