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「…あんたらは何を知ってんの?冬麻くんの何を知って、そんなこと言えんの?……夏喜の何を知ってそう断言出来んの?」 風隼さんの言葉に部室全体がシーンと静まり返る。 「……は、なんも言えねぇのかよ(笑)クズだなお前ら……」 風隼さんは吐き捨てるようにそう言うと、鞄を持ち部室のドアに向かう。 「あ、あの…」 「……ごめんね、冬麻くん。こんなクソな部活、入んなくていいから」 「え、えっと……」 風隼さんの言葉に戸惑いを隠せないでいる。 「夏喜には、俺から言っとく」 「か、風隼…さん…」 バタンッ 部室に風隼さんが出ていった音だけが響き渡った。 部室全体がまた、静寂に包まれる。 「…はのくん、ちょっと一緒に来てくれる?」 「……え?」 「おい!陽斗!!」 俺の腕を持ったひろさん。それを見て、ずっと黙っていたサッカー部員の一人が、ひろさんの腕を引き止めるように掴む。 「…何やってんだよ」 ひろさんを引き止めた1人だけでなくサッカー部員全員が驚いた表情を見せた。 …そうだ、ひろさんは色んな人と仲がいいんだっけ 風隼さんがそう言っていたことをふと思い出す。 「…何って、君らには関係ないでしょ」 ひろさんは止められた腕を振り払い、見たことない、冷たい表情でそう言い放った。 「…ひ、陽斗…」 「行こっか、はのくん」 ありえないといった表情のサッカー部員を気にせず、ひろさんは僕の腕を改めて強く持ち、部室から出た。

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