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(夏喜side)
「な、なんで…わ、笑うん…ですか?」
「え?だって、羽野面白いんだもん(笑)」
本当に、羽野は面白い。
腕を引っ張ったぐらいで俺が怒るとでも思ったのだろうか…?
そんなの、俺が羽野の腕を引っ張ったことだってあるし、お互い様だろう。
…いや、むしろ俺の方が羽野に対しては無理やり付き合わせてる事が多い。
(ほんと、羽野に対してなんでこんな必死になってんだろうな)
陽斗に言われたことがある、「なんであの子に執着してんだ」って…
ほんと、なんでだろうな…
(今までこんなこと無かったのに)
蓮も羽野に対して距離は近いが、それは俺や陽斗に対するものと変わらない。
たぶん、友達が出来た感じなんだろう。
そこに関しては、幼なじみとして今まで俺と陽斗にしか心を開いてなかった分嬉しく思う。
(…じゃあ、俺は?)
友達になりたいのはもちろんそうだ。
素直で誰よりも一生懸命でがんばりやさんな羽野を見て、仲良くなりたいと思った気持ちに違いはない。
けど…
「……河木、くん?」
黙り込んだ俺を不思議に思ったのか、羽野が俺の顔を少しだけ覗き込んだ。
「あ、ごめん!」
突然顔を覗き込まれてドキッとする。
前までだったら絶対自分から顔を覗き込むような…ましてや、腕を掴むようなこと有り得なかった。
それが今じゃ、自然と羽野からしてくれている….
羽野が少しでも心を開いてくれてるんだって分かり、嬉しくなった。
(これも、蓮と陽斗のおかげなんだろうな…)
それと同時にそんなことをふと思い出す。
自分がなにも出来てないことに少しだけ…心が沈んだ。
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