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(冬麻side)
河木くんに申し訳なくて、頭を下げる。
不安で心はいっぱいだった。
「そんなこと、思ってたの?俺の心配をしてくれてたの?」
河木くんが腰を少しだけ低くすると僕の顔を覗き込む。
やっぱり慣れなくて、肩をビクつかせたが素直に首を縦に降った。
(「そんなこと」なんて…よっぽどのことだ)
河木くんにとっては「そんなこと」でも僕にとったら自分のことを言われるより何倍も辛い。
自分が嫌で嫌で仕方なくなる。
僕の中で河木くんは、そう言いきれるぐらいに大きなものへと変わっていた。
(…怖いなぁ、これ以上大きくなるのが…)
覚悟はしていた。気持ちが大きくなるのを恐れて、友達を断ろうとしたが…逃げないでおこうと決意した。
けど、いざその変化を目の当たりにすると…
(怖い……)
自分の気持ちを吐き出すつもりは全くない。
風隼さんにもひろさんにもバレてはいたが…
告白など、絶対にしない。
理由は簡単、傷つくのが怖い…それだけ。
(こんなこと思ってるってバレたら、風隼さんに怒られちゃうかな、それとも…)
「羽野、やっぱサッカー部に入ってくんないかな?」
「……え?」
思いもしなかった河木くんの言葉に顔が上がる。
(……あ、)
顔を上げて見た、河木くんの表情…
それはそれは優しく、暖かな微笑みだった。
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