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この後俺は目玉焼きの乗ったハンバーグを選び、定員さんに注文をした。
「…羽野って中学の頃はどんな姿だったの?」
「えっ?」
「自己紹介の時に、最近この格好をし始めたみたいなこと言ってたから」
少しだけ踏み切った質問だった。
たぶん、羽野は本当の自分の姿を見られたくないんだろう。
それは、なぜだか分からない。羽野にとっての最近は、もしかしたら中学からかもしれないし、何となく…身だしなみとか面倒くさくなったのかもしれない。
けど…
「か、変わってない…ですよ……中学から……」
「……え?」
「ちゅ、中学のときから……こ、こんな感じです」
……嘘だ。
(嘘はつかないでって…言ったばかりなんだけどなぁ…)
けど、
「…そっか(笑)」
羽野が小さく震えているから、自分で自分を守るように抱きしめているから…
(ごめんね、羽野…嘘つかせて)
羽野がまた、罪悪感に押しつぶされているのかもと思うと、苦しくなる。
敬語が自然と抜けてたり、2人っきりでも大丈夫になってきたから…気が抜けていた。
(ゆっくり歩み寄ろうって決めたばっかなのに…)
羽野に嫌われても別にいい、無神経なやつだと離れて行っても…俺は大丈夫。
けど、たぶん…羽野はそれが出来ない。
全部自分のせいにしてしまう人だ。
きっと、嘘ついた自分を心の中で痛みつけているのだろう…
(羽野のペースでいいのに…無理して、焦らなくていいのに)
焦らせてしまったのは、間違えなく俺のせい
(これで羽野の心が閉まってしまわないように)
そう、願う方法しか俺には分からなかった。
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