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┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
(ちっ…近い………)
こんなまじかで河木くんの顔を見たのは、後ろから抱きしめられた時のグラウンド以来…
「ちょっと我慢して」
河木くんの少しだけ真剣そうな表情に心臓がバクバクとうるさくなる。
布巾を持った手がそっと近づき、僕は思わずぎゅっと目をつぶった。
(ま、まだ、かな……)
なかなか拭いてくれない河木くんに疑問をもちながら、目をつぶったことで余計に感じる視線に心臓が破裂しそうになる。
(し、心臓の音……き、聞こえて…ないよね?)
そんなことをグルグルと考えていると、ようやく口元に布巾が当てられた。
(だ、だいぶ下だ……)
自分が思っているよりも下についていた事に顔が更に真っ赤になるのを感じる。
「……?」
黙ったままの河木くんに痺れを切らし、目を開けようかと思ったその時
ふわっ
(………え?)
河木くんの手が僕の頭を優しく撫でた。
軽くパニックになるが、風隼さんやひろさんのやるスキンシップと何も変わらないと自分を落ち着かせる。
(そ、そうだ…この人達は、そういうことをサラッとしてしまう人達なんだ……)
そう自分を思い込ませ、また独特の甘い雰囲気のある、あの笑顔で見てるんだろうな…
なんてその場で耐えきれるよう、予想しながらそっと目を開けた。
(……えっ)
だが、それは思っていた表情とは違う。
初めて見た…河木くんの真剣で、全てを射抜かれるような目に
僕は、心臓が止まりそうになった。
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