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┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
見つめられた視線から目を逸らせなくなる。
声をかけたくても、上手く喉から出てこない。
サラッ
「…っ」
真剣な目のまま、河木くんは僕の髪を優しく掴み、撫でる。
思わず肩をビクッと震えさせた。
「…羽野」
突然声をかけられまた、肩を上下に揺らす。
「羽野ってさ」
次に出てくる言葉に、目に、表情に…胸がドキドキと高鳴った。
「めっちゃ髪綺麗だよね!」
「………え?」
思いもよらなかった言葉に声が漏れる。
「ずっと思ってたんだよね、羽野の髪って真っ黒なストレートじゃん?羨ましいなぁ」
(こ、この人は…何を言ってるんだ……)
こんなボサボサの髪型が良いなんて…
それに、ストレートな髪も真っ黒な髪色も…、今の僕には不気味にさせる1つのアイテムにしかならない…
「ほら、俺黒髪だけどちょっとだけこげ茶っぽい色入ってるでしょ?なんか中途半端で嫌なんだよね(笑)」
「そ、そんな…こと」
ニコニコと河木くんが笑いながらハンバーグを口に入れる。
(……さっきのなんだったんだろ)
目の前にいる河木くんはいつもの河木くんだ…ニコニコ笑顔で、優しい眼差しを僕なんかに当ててくれる
…僕の知っている河木くん
僕は首を少しだけ傾け、またミートスパゲティを頬張った。
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