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「あ、ありがとう…!」 河木くんにミルクティーを差し出す。 「えっと…ミルクティー…い、いけた?」 「大好き!」 キラキラ笑顔の「大好き!」という言葉にドキンっとする。 それに気づいてない河木くんはミルクティーを手に持つと「あったかーい」なんて言いながら微笑んだ。 僕もココアを開けると一口口に含める。 (おいし…) 久しぶりに飲んだココアの美味しさに少しだけ感動した。 「あ、お金…はい!」 鞄の中から財布を取り出し、120円渡してくれる。 (なんで値段分かったんだろう…) もしかしたら、よくミルクティーを飲むのかな?なんて思った。 「…羽野、部活の事なんだけど」 河木くんがどこか遠くを眺めながら呟いた。 僕は河木くんの顔をそっと見る。 白い息を吐きミルクティーを両手で握りしめていたその姿は、相変わらず様になる。何かの雑誌の1ページみたいだ。 「…やる気はある?」 「…………」 まだ、何とも言えない。 河木くんの言葉を信じて、踏み出したいと思う気持ち半分、やっていけるのかと思う、不安半分…… 「いくらでも待つよ、羽野が無理してやる必要はない」 河木くんは僕に視線を移し替えてそう言う。 「ご、ごめんね…優柔不断で…」 「なんで?考えてくれてるだけとっても嬉しいよ?」 ふわっと微笑んでくれる河木くんに胸がキュンと高鳴る。 「あ、ありが……とう」 そう呟くと河木くんは目を大きく見開けた。 「…びっくりした…絶対謝ってくると思った」 (え、あっ…厚かまし、かったかな) 不安が少しだけ心の中で芽生えたが 「…めっちゃ嬉しい…」 「………え?」 「謝れるより感謝された方がやっぱ嬉しいよね」 そう言ってニコニコ笑う河木くんが可愛くて、寒さとは違う意味で頬を赤らめた。

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