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ファミレスの席で河木くんと二人っきりになる。
昨日二人で来たばかりだったが、昨日とは違い、ひろさんが風隼さんの隣に行ったので、自然と僕と河木くんが隣同士になった。
(ボックス席で、隣なんて…周りから見たら変だよね…)
きっとすぐに帰ってきてくれるだろうが、その短い時間が僕にとってはとてつもなく長く感じる。
「…羽野」
「は、はい」
突然声をかけられてびっくりしながら答える。
「…数学助けて!!」
河木くんはそう叫ぶと数学の教科書を僕の前にドーンと置いた。
「へ?あ、はっはい!」
ザーッと教科書を目に通し、どんな解き方をしたら良いのか思い出す。
「あ、こっこれは…中学でやった…中点連結定理を使って…」
「……ごめん、羽野…」
「……へ?」
「…中点連結定理って……なに?」
僕と河木くんの間に一瞬で静寂が生まれる。
(ま、まじか……)
入学当初も思っていたが、
よくこの高校に入れたなと思う…
僕が驚きと衝撃を隠せないでいると
「は、羽野…」
「は、はい」
「ごめんね?」
シュンとしながら僕の顔を見てくるその姿は、まるで怒られ待ちをする子犬のようで…
(か、…可愛い……)
そう思わざるおえなかった。
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