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第10章 holly hock ~タチアオイ~
(ここからは、中学時代に出会った、冬麻と領のシーンです)
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中学1年の頃、美術の授業で「花」をテーマにした課題があった。
「おーい!冬麻!描けた?」
同じクラスの友人が筆を持つ俺の肩に手をポンっと置く。
「…って、ぶはっ(笑)なんだよこの絵!?」
「……はぁ?なんだよって…どうみたって向日葵だろ!?」
「ひ、向日葵!?…このごちゃごちゃが!?」
「はぁ!?ごちゃごちゃってなんだよ!!」
騒ぎを聞きつけたクラスメイトが、俺の絵の周りに一気に集まってきた。
「なにこれ!!(笑)」「これ、ガチで描いてんの?(笑)」「ピカソの弟子だったりして…」「いや、そんないいもんじゃねぇだろ(笑)」
ああだこうだと俺の描いた絵にいちゃもんつけてくクラスメイトに俺は「うるせぇなぁ」と笑いながら返していく。別に気にしてないし、俺の絵が下手なのは今に始まったことじゃない。そう思いながら軽くあしらっていた。
…が、
「俺は好きだよ」
「…え?」
周りが一気にシーンと静まる。そのまま俺を含めたクラスメイト全員が一斉に声のした方へ顔を向けた。
(…う、嘘…)
視線を向けた、その先には
俺がずっと憧れていた…
紅月 涼が立っていた。
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