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┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
「え?この絵、何か分かるん…ですか?」
一人の男子が紅月 涼に問いかける。
「うん、向日葵…でしょ?」
当たっていることに胸がドキッとする。
自分で言うのもなんだが、…分かってくれるなんて思ってなかった。
「…え!?分かんの!?」
「……お前、やっぱピカソの弟子なんじゃね?」
「ば、そんなわけあるか!」
真剣な顔で見てくるクラスメイトに対して笑ってつっこむが、誰も笑ってはくれない。
そりゃそうだろう、涼…紅月 涼は世界的に有名なプロの芸術家なのだから。
「……羽野、冬麻くん?だっけ」
ドキンッ
「そ、そうだけど…」
「おいで…」
「は!ちょっ……」
腕を思いっきし引っ張られると教室をで、そのまま近くにある立ち入り禁止の屋上へ上がっていく。
「な、なに…」
突然の行動に驚きも戸惑いも隠せないでいた。
紅月 領は屋上の前まで来ると、ポケットから出るはずのない屋上の鍵を取り出し、黙ったままガチャっと鍵を開ける。
そのまま中に入ると、俺の腕をまた、グイッと引っ張られた。
「…ここ」
「………え?」
突然、透き通った美しい声が聞こえ、目の前の光景を目に入れる。
「……うわぁ……」
そこには、屋上の壁や床一面に描かれる、大きな花畑があった。
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