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┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
「す、すごい……」
「でしょ?」
紅月 涼はふわっと微笑むとそのまま近くに落ちてた筆と絵の具を取り出し壁に絵を描き始める。
なんでここに自分を連れて来たのか…説明も何もないまま、自分の世界に入り出す紅月 涼に踊らされながらも、邪魔してはないと思い、近くに置いてあった椅子にそっと座り込んだ。
身勝手な行動をされることは好きじゃない。
相手の気持ちを考えずに好き勝手されると、短気なのもあり、昔っから我慢出来ずに怒鳴っていた。
なのに……
(心地いい…)
学校の屋上に急に連れてこさせられて、何も言われず、放置されているのに…
スラスラと筆を進めていく手に、真剣な眼差しで壁を見つめる瞳に、…歩み寄れば手で触れるほど近い、紅月 涼の作品に……
心と体が落ち着いた。
┈┈┈┈┈┈
「冬麻くん、冬麻くん…」
「……っん」
どこからか柔らかくて心地いい声が聞こえてくる。
そっと目を開けると紅月 涼が俺の顔を覗き込んでいた。
「あ、ごっごめ…」
寝てしまっていたことに気づき、謝りながら目を擦る。
「ううん、俺がずっと放ったらかしにしちゃってたから」
「ごめんね」と言うその声は相変わらず優しくて…心を溶かしてしまいそうだった。
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