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「……よく知ってるね」 「そりゃ、紅月 涼の作品ですから…」 「……さすが」 紅月 涼はふわっとまた微笑む。 (その微笑みの中に、何があったの…) 完璧に見えるタチアオイの弱点…それは、周りからの目 生まれ持った美しさや才能…そして、豊かな環境を持ったタチアオイは、生まれながらに差別されてきた。 「あの花は私たちとは違う」「恵まれた人なんだ」と… タチアオイが奪っていった「財産」「土地」「花びら」「夢」……それは生まれ持った環境から手に入ったもの、自然と手に入っていったもの…つまりは「財産」「土地」、そして「花びら」は人間でいう…他人からの愛情・気持ち…つまり恋愛感情をさす。最後に出てきた「夢」……、これは同じ夢をもった他の花が、タチアオイが奪っていった…つまり、叶えたということだろう。 タチアオイが消えていった日、乾燥で枯れかけていた花たちに恵の雨が降り注ぐ…、それは、蒸れに弱いタチアオイにとって、最後の一撃になったのではいだろうか、 あくまで、自分の解釈だが… この作品に批判的な意見を持つ人がほとんどだ。 「紅月 涼らしい作品じゃない」「なぜ「裏切り」というテーマなのか分からない」「「復讐」というテーマでいいだろう」など、波紋をもたらした。 俺は、なんとなく…この作品を見た時から、このタチアオイが持っている悲しみに触れたくて…知りたくて、不思議と自分の中でこの作品を描いた紅月 涼本人の意図を考えたり、調べていた。 そんな中で、辿り着いたのが、この考え… あくまで自分の解釈だったものが、紅月 涼と出会い確信へと変わっていく。 「あなたが、タチアオイなんだよね?」 あなたの、心の奥深くに眠る、悲しみを… 俺は知りたい。

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