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「サザンカ」… 「……美しい花であることは一緒だね」 俺の言葉に紅月涼は小さく笑う。 「美しいからね…」 そういいながら髪の毛をサラッと触り、チュッと小さくキスを落とした。 (……っえ) そのまま固まってしまうと紅月 涼はふわっと微笑む。 (…えっ、ど、どういうこと…た、タチアオイが紅月 涼なんだよね…じゃあ今座らされてるサザンカの作品は…?えっ、…え!?) まさか、…いや、まさかね… 「…このサザンカは…だ、誰がテーマなの?」 恐る恐る紅月 涼の顔を覗き込みながら問いかける。 すると、ニコッと笑いながら 「分かってるんでしょ?」 と、とんでもない爆弾を落としていった。 「ねぇ、冬麻くんって普段呼んでないから違う呼び方でもいい?」 「ふ、普段って…いい、けど……」 「んふふ(笑)じゃあ冬麻で」 「え?い、いきなり!?呼び捨て!!」 「じゃあ、フルネーム?」 「い、いや…冬麻で……いいです…」 「じゃあ俺は涼ね?」 「は、はい!?」 「決定!!もう、涼以外の呼び方禁止だから」 「…うっ………」 「ほら、呼んで呼んで」 「りょ、涼……」 「なぁに?冬麻?」 (じ、自由気まますぎる……) 「あ、あと、冬麻にプレゼントあげる」 「…え?プレゼント??」 やることもなくボーッとしていた俺に突然そんなことを言い出す。 (な、なんだろう…) あれだけのすごい人だ……なんか、よく分かんないものだったりして…… そう思いながら鞄をガサゴソと探し出す涼を待っていた。 「あった!…はい、これ」 渡されたのは数枚の紙… 頭に?を浮かべながらその1枚1枚をめくって見てみる。 ……が 「な、なっ…なに……な!?」 その全てが俺の顔だった…。 「めっちゃ冬麻の顔好きなんだよね、パーツの整い具合とかがすごい綺麗だし、ずーっと見てたい」 み、見てたいって…… 「まぁ、見てたいって思った結果がこの絵なんだけどね?」 そう言うとふわっとまた微笑む。 (いや、ほ、微笑んだら済む問題じゃ……) それからというもの、一緒にいて落ち着いたこともあり、涼といるのが当たり前になっていった。

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