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(冬麻side) 涼に手を引かれたまま、何も言わずにただ道を歩く。 どこへ向かっているのか、全く分からない。ただ、中学で慣れているからか、戸惑いは全くなかった。 「…ここでいいや」 「え?」 着いた場所は河木くんと一緒に話した公園。 グイッ 「…うわっ…」 また、手を引っ張られ中に入っていく。そのままベンチに座らされると隣に涼が座った。 「…やっと見つけた」 そう言いながらふわっと微笑む涼… 久しぶりの笑顔に胸がドキンと高なった。 (変わって…ない…) そりゃそうか…涼の前から消えたのは、およそ1年前のこと、人がおよそ1年で変わるはずがない。…変わったのは、僕ぐらいだろう 「……髪、…染めたんだ…ね」 唯一変わった髪色を言葉に出す。 「ん?あぁ、…変?」 「ううん…似合ってる…」 涼は「ありがと」と答えると俺の髪をサラッと触った。 「……冬麻は、…変わりすぎだよ」 そう言ってまた微笑むが、口角が引きつっていて、…とても苦しそう。 「変わりすぎだよ」の言葉に一体どんな意味合いが込められているのだろうか…。 一年ぶりに出会った俺の姿を見ても、まだ、「冬麻の顔が好きだよ」と言ってくれるのだろうか… あの頃とは違う「俺」を…美しいサザンカでは無くなった僕を…まだ、 向日葵から 奪い返そうとしてくるのだろうか 向日葵と出会ってしまった、僕を… タチアオイは超えていってしまうのだろうか

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