144 / 437
┈┈┈┈❁⃘┈┈┈┈
言ってしまった。
「…ぐすっ」
涙が止まらない、僕の頬を涼が優しく撫でる。
「…ごめん、キツく言いすぎた」
なんで…
「なんで…涼が、謝んだよ」
「……え」
謝るのは僕の方なのに、心配してくれてる涼に、酷いこと言って…傷付けたのに。
「別に、冬麻が俺のことどうこう言ったって、俺は傷つかねぇよ」
僕は思わず涼へ視線を向ける。
「冬麻が傷ついてる方が、泣いてる方が…よっぽど辛い」
こう言う時の涼の目は知ってる。
僕が…周りがなんて言おうと、関係ない
力強い目をしているんだ。
「……元気、だった」
「え?」
僕の突然の問いかけに涼はびっくりしたように聞き返す。
「……俺、聞いてんだけど」
中学のころの調子に少しだけ戻った僕…俺に涼はふわっと微笑んだ。
「うーん、元気だけど冬麻いねぇから楽しくねぇ」
「…なにそれ」
「ホントだよ?絵かいても捗んねぇし、アイデアも浮かばない」
涼は「どうしてくれんの?」なんて言いながら困ったように顔をしかめた。
「…ごめん」
「いいよ、冬麻が生きてるって分かっただけでも」
「い、生きてる…って」
なんとも大袈裟な…
「そんぐらい、あの時のお前はやばかったんだよ」
……大袈裟、でもないか…
何度も死のうと考えたんだから。
「冬麻は?…元気なの」
俺…?俺は…
「元気…だよ、…それなりに、楽しいし」
初めは学校に楽しさなんて求めてなかった。
東雲学園に来たのも、涼を含める中学の同級生にバレないよう…ただそれだけ。
何も、期待なんてしてなかった。
けど…
俺は、…向日葵と出会えた
向日葵が…河木くんがいたから、
何もかも失った雑草に
一筋の光が見えたんだ。
ともだちにシェアしよう!