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だいぶ夜遅くなったこともあり、「帰るか」という涼の一言で公園を出た。
送っていくという涼の気遣いを断ったがスルーされ、半ば強引に家まで送って貰った。
「…じゃあ」
「おやすみ」
「……おやすみなさい」
住んでるアパートへ辿り着くと涼は俺の髪をクシャッと撫で、そのままその場を立ち去る。
…ここから母校である中学までは電車で30分程かかる。たまたま絵のことで東雲駅に用があり来たらしいが…大丈夫だろうか。
「…さむっ」
風が強く吹き荒れる。
見えなくなるまで涼を見送った後、家の中へ入っていった。
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「……は、羽野!」
次の日の昼休み、いつものようにパンを鞄から取り出そうとしていたら河木くんが僕に話しかけてきた。
「な、…なに…?」
昨日のことを思い出し、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
思わず目を逸らしたくなった。…けど、
(逸らさない…逃げない)
心の中でそう、何度も繰り返す。
少しだけソワソワした河木くんに疑問を抱きながら、言葉の続きを待った。
河木くんは小さく息を吐く。
そして、そのまま僕の目をじっと見つめてニコッと笑った。
昨日見たばかりなのに…久々に感じる好きな人のキラキラした笑顔に胸がいつもよりドキンッと高鳴る。
それを他所に河木くんは自分の鞄の中から、何かゴソゴソと探し出していた。
「…これ、前に言ってたやつ」
「……え?」
前に…言ってた…やつ?
一体なんの事か…疑問を持ちながら河木くんの手元を見る。
(……あっ)
そこにあったものは、お弁当…
「前に言ってたでしょ?お弁当作ってくるって」
そう言って照れくさそうに笑う河木くんに、心臓がきゅっと痛くなった。
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